【感想】相手の幸せをただ願う【光のとこにいてね 一穂ミチ】

光のとこにいてね 一穂ミチ ネタバレ
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こんにちは、あらいぐまです。

今回は、一穂ミチさんの「光のとこにいてね」を読みました。

2023年本屋大賞3位を獲得!!

一穂ミチさんと聞いて、昨年の「2022年本屋大賞」にノミネートされた「スモールワールズ」が思い浮かびました。

「スモールワールズ」は一見優しい物語かと思いきや、人の怖さを感じたことが印象に残っています。

今作では、そんな怖さは感じられず、切なくも温かい物語だと感じました。

目次

あらすじ

――ほんの数回会った彼女が、人生の全部だった――

古びた団地の片隅で、彼女と出会った。彼女と私は、なにもかもが違った。着るものも食べるものも住む世界も。でもなぜか、彼女が笑うと、私も笑顔になれた。彼女が泣くと、私も悲しくなった。
彼女に惹かれたその日から、残酷な現実も平気だと思えた。ずっと一緒にはいられないと分かっていながら、一瞬の幸せが、永遠となることを祈った。
どうして彼女しかダメなんだろう。どうして彼女とじゃないと、私は幸せじゃないんだろう……。

――二人が出会った、たった一つの運命
  切なくも美しい、四半世紀の物語――

文藝春秋BOOKS 
登場人物

結珠(ゆず):父が医者で、お金に不自由ない暮らしをしているが、母から冷たい態度を取られる。ある日、母に連れられ団地に行き、果遠と出会う。

果遠(かのん):母と団地で二人暮らし。決して裕福な家庭ではなく、母から着るものや食べるもの、行動を制限されている。ある日、住んでいる団地で結珠と出会う。

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「光のとこにいてね」の意味

光のところにいてね 評価 ネタバレ

この本は、結珠と果遠の年齢ごとに3章構成になっています。

1章:小学生。団地で2人が出会う。

2章:高校生。結珠の学校に果遠が転校してくる。

3章:29歳、再会。和歌山にて再会。

各章の最後に、果遠は結珠へ「そこの光のとこにいてね」という言葉を残しています。

タイトルにもなっている「光のとこにいてね」という言葉、果遠の結珠への想いが溢れている言葉だと感じます。

「あなたは私の光だ」とか「一緒にいると光の中にいるみたい」ではなく、「光のとこにいてね」です。

これって、この言葉を発している果遠の周りは「暗く」ていいから、結珠の周りは「明るく」なってほしいということだと思います。

つまり、自分(果遠)は不幸せでもいいから、あなた(結珠)は幸せになってほしい

結珠へのそんな思いが溢れている言葉に感じました。

では、結珠の方はどうなんでしょうか。

作中では、果遠のように言葉では語られていませんが、同じような想いだったのではないでしょうか。

結珠は小学生の時に果遠と出会い、世界が広がりました。

「自分の想像もできないような世界がまだまだ存在する」と。

母親に反抗できず、言う通りにしか行動できない結珠にとって、行動力があり自分の知らない世界のことを知っている果遠は、憧れの存在だったと考えます。

それこそ、「果遠のような存在になりたい」と想えるほどに。

結珠も言葉には出していないものの、「果遠には幸せになってほしい」と思っていたはずです。

2人の関係性

光のとこにいてね 感想 本屋大賞

この本を読んでいて気になったのが、2人の関係性です。

結珠の弟である直からは、「付き合ってると思ってた」という発言がありますが、作中では特に明言されていません。

読んでいて感じたのが、2人の関係性の曖昧さです。

果遠が章の最後で言っている「光のとこにいてね」が2人の関係性を表していると感じました。

その光の中にいるのは、「一緒」ではなく相手のみです。

積極的に付き合うまで関係性を持たないけれど、相手には幸せにはなってほしい

2人はそんな曖昧な関係性ではないかと感じました。

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この記事を書いた人

はじめまして。
あらいぐまと申します。
読書とソロキャンプが趣味の28歳の会社員。
ミステリ小説多めです。
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