【感想】一番衝撃を受けた短編集【法月綸太郎の冒険 法月綸太郎

法月綸太郎の冒険
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こんにちは、あらいぐまです。

法月綸太郎さんの「法月綸太郎の冒険」を読みました。

この短編集にある「死刑囚パズル」と「カニバリズム小論」が面白いとTwitterでおすすめされていたからです。

この短編集に収録されているのは以下の通りです。

タイトル一覧

1.死刑囚パズル

2.黒衣の家

3.カニバリズム小論

4.切り裂き魔

5.緑の扉は危険

6.土曜日の本

7.過ぎにし薔薇は・・・

この中でも、4~7は「図書館シリーズ」と呼ばれるシリーズの短編だそうです。

この本に収録されている図書館シリーズは、日常のミステリーを解決していく話です。

例えば、「4.切り裂き魔」では、図書館にあるミステリー小説の本文前のページのみ切り抜かれているという事件を解決するという物語です。

「図書館シリーズ」も面白いのですが、1~3の短編が印象的すぎました。

特に、それぞれ犯行を行った動機に驚かされました。

今回は、印象的だった1~3の短編をネタバレなしでご紹介します。

目次

死刑囚パズル

まずは、最初に収録されている「死刑囚パズル」から。

最初から、なかなかパンチのあるタイトルです。

あらすじ

死刑執行前の死刑囚が、死刑執行直前に殺された。

犯人は誰なのか。そしてなぜ死刑執行直前の死刑囚を殺す必要があったのか。

死刑直前の死刑囚を殺害するという、謎極まる事件です。

主人公である法月綸太郎は、論理的に事件の謎へと挑みます。

些細な事実から導き出す推理は、見事であり、タイトルにもなっている「パズル」は、パズルのように事実というピースを当てはめて、徐々に事件を解決する様子を表したのではないかと考えました。

そして、論理的な推理もさることながら、驚くべきは動機です。

ネタバレになってしまうので、詳しくは言えませんが、死刑囚を殺害する動機としては筋が通ってましたし、納得しました。

犯人は、死刑執行直前になぜ殺害する必要があったのか。気になる方は、ぜひ一読してみて下さい。

また、この物語は刑務所が舞台であり、死刑制度のことも学べます

しかし、20年以上前に書かれたものなので、現状の制度と違う点もありますが、刑場の雰囲気などはリアルに描かれています。

同じく死刑を題材にした、高野和明さんの「13階段」を読んだ方にもお勧めできます。

黒衣の家

続いては、「黒衣の家」をご紹介します。

あらすじ

当麻家の祖母である佐代は、夫の死後四十九日も終わらぬうちに毒を盛られ死亡した。

誰が何のために、殺害したのか。

こちらの物語も、その動機に驚かされました。

多くのミステリー小説では、誰が犯行を行ったかを解き明かものが多いです。いわゆる「フーダニット」と呼ばれるものです。

フーダニット:誰が犯人か。(Who)

ハウダニット:どのように犯行を行ったか。(How)

ホワイダニット:なぜ犯行に及んだか。(Why)

この短編もフーダニットを問う物語ですが、動機(Why)の部分が重要になってきます。

真実を知ったとき、そんな理由で??と驚くことでしょう。

そんな理由で??とは思ったものの、それは、当事者ではないから言えることかもしれません。第三者から見れば、たいしたことでなくても、当事者にとっては殺人の動機にもなる・・・

そんなことを考えさせられた物語です。

カニバリズム小論

続いては、「カニバリズム小論」をご紹介します。

皆さんは、カニバリズムという言葉を知っているでしょうか。

カニバリズム(英語:cannibalism)とは、人間が人間の肉を食べる行動、あるいは習慣をいう。食人、食人俗、人肉嗜食ともいう。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ある殺人事件で食人を行った男をめぐり、綸太郎ととある男の二人喋りでこの物語は進行していきます。犯人はすでに逮捕されていますが、食人の目的が分かりません。これもまた動機に焦点が当たっています。

食人の目的を探っていく中で、カニバリズムの歴史など語られ、勉強になります。

食人の目的

〇飢餓の際、食用とする

〇宗教的な意味

〇嗜好品として食す

〇敵の復讐のため

〇疾病治療のため

〇性的な興奮を覚える

〇食べることで、同一化する

〇食べることで、死体を処分し隠ぺいするため

食人の目的は、これらに当てはまるそうですが、今回の事件には当てはまりません。

なぜ犯人は、食人を行ったのか。

その理由を知ったときは、衝撃でした。

納得はできるけど、同時に恐怖を覚えました。

「そうか、そんな理由もあったのか・・・」と。

カニバリズムのことを知る機会にもなりますし、ミステリー要素もあり、楽しめました。

ただ、実際にあった食人の事件を調べると、気分が悪くなるかもしれません・・・

まとめ

短編という事で、少しなめてました・・・

まるで、1本の長編を読んだかのような濃密な短編集でした。

特に、今回紹介した3つの短編だけでも読む価値はあると思います。

興味がある方は、ぜひ一読してみてください。

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この記事を書いた人

はじめまして。
あらいぐまと申します。
読書とソロキャンプが趣味の28歳の会社員。
ミステリ小説多めです。
読んだ本の感想や考えたことを発信します!

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