こんにちは、あらいぐまです。
今回は、小川哲さんの「君が手にするはずだった黄金について」を読みました。
作者の小川哲さんと言えば、「地図と拳」で2022年168回直木賞を受賞しています。
また、同じ年に発表した「君のクイズ」も話題になり、本屋大賞にノミネートされました。
そんな小川哲さんの最新作「君が手にするはずだった黄金について」は、「承認欲求」がテーマです。
作者自身が主人公となり、物語が進んでいく連作短編集。
プロローグを含めて6つの物語があります。
中でも表題作の「君が手にするはずだった黄金について」と「偽物」が心に残りました。
この2つは、承認欲求を求めすぎた2人の物語。
読んでいる自分自身も思い当たる節があり、笑えなくなります・・・
SNSを日頃使っている人、「いいね」の数に一喜一憂する人・・・ぜひ読んで欲しい1冊です!
あらすじ
認められたくて、必死だったあいつを、お前は笑えるの?
青山の占い師、80億円を動かすトレーダー、ロレックス・デイトナを巻く漫画家……。
著者自身を彷彿とさせる「僕」が、怪しげな人物たちと遭遇する連作短篇集。
彼らはどこまで嘘をついているのか?
いま注目を集める直木賞作家が、成功と承認を渇望する人々の虚実を描く話題作!
新潮社HP
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心に残った言葉
「君が手にするはずだった黄金について」で心に刺さった言葉を紹介します。
平凡な1日
僕は三月十日に何をしていたのか、まったく思い出せないという事実に落胆したわけではなかった。
たぶん、ある特定の一日が、自分の人生の記憶からすっかり消え去ってしまうということに落胆していたのだと思う。
人生のほとんどは、記憶にすら残らない「平凡な一日」で構成されている。(中略)
でも、そういう一日にだって、僕たちは何かを学び、何かに笑い、何かに感動しているはずだ。
僕たちはどんな日でも、平等に二十四時間を過ごしている。
小川哲「君が手にするはずだった黄金について」株式会社新潮社 p53
この言葉は、「三月十日」という話に出てきます。
2011年3月11日、東日本大震災が起きた日。
この日のことは鮮明に覚えている人も多いでしょう。
ですが、前日である3月10日は、何をしていたか覚えていますか?
「三月十日」は、記憶から失われた3月10日を思い出す物語です。
2011年3月10日、私は高校生でした。
授業を受けているはずですが、3月11日に比べると記憶が曖昧です・・・
3月10日に限らず、1日1日は平等であるべきです。
仕事をしていると、「次の土日のために頑張る!」、「次の連休のために働いている!」といった言葉をよく耳にします。
実際、私も「次の休みのために頑張る!」と思って仕事しています・・・
でも仕事をしている日も「同じ1日」です。
仕事があるというだけで、価値を下げてしまうのはもったいないと思いました。
1日1日をもっと大切にしなければ・・・と考えを改めるきっかけをくれた言葉です。
承認欲求
「君が手にするはずだった黄金について」でテーマとなっている「承認欲求」
中でも2人の人物が印象に残っています。
偽りの自分を演じることで、自分を大きく見せた男:片桐
他の誰かの力を自分の力と偽り、大きく見せていた男:漫画家ババ
2人の行動原理は、「人に認められたい」ということです。
承認欲求は、他人との比較で始まります。
他人と比較し自分を大きく見せることで、人に認められようとします。
ここで登場する2人は、承認欲求のために人生を賭けています。
皆さんも程度の差はあれど、同じような経験はあるんじゃないでしょうか。
偽りの自分を演じる:SNSで加工した写真を載せる。etc
他の誰かの力を借りる:鋭い映画レビューを真似する。etc
あなたは、片桐やババを笑えるでしょうか・・・
見せかけの自分を演じる・・・
これをずっと続けていたらどうなるでしょうか。
「本来の自分」と「見せかけの自分」とのギャップが大きく、「本来の自分」に戻れなくなってしまうのではないでしょうか。
まさに物語に登場した片桐・ババのように。
ずっと自分自身に嘘をつき続けるのは、虚しいことです。
元の自分を知っているだけに、「見せかけの自分」とのギャップを感じ、ストレスにもなります。
ですので、見せかける必要のない場所で、本来の自分を認めてくれる人が必要だと思います。
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