【感想】あなたの”縁”もどこかで繋がっているのかもしれません【青山美智子 月曜日の抹茶カフェ】

月曜日の抹茶カフェ 青山美智子 感想 
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こんにちは、あらいぐまです。

今回は、青山美智子さんの「月曜日の抹茶カフェ」を読みました。

この本は、「木曜日にはココアを」の続編ですが、これだけで読んでも問題ありません。

12話の物語で構成されている短編であり、それぞれ登場人物に繋がりがあります。

どの話にも共通していると感じたのは、“人との縁”をテーマにしていることです。

どの話も心温まる物語で、読んだ後は「人に優しくしよう」と思える本でした。

本の中で、特に印象に残った言葉を紹介していこうと思います。

 

青山美智子さんの本は、「木曜日にココアを」をはじめ何冊か読んでいますが、どの本も自分の背中を押してくれる優しい物語です。

特に、2021年本屋大賞2位を受賞した「お探し物は図書室まで」は、勇気をもらえる言葉であふれていました。

 

目次

今ここにいることが奇跡

この本のテーマは”人との縁”だと書きましたが、それを象徴するような話だと思ったのが、「カンガルーが待っている」という話です。

この話を読んで、「今ここにいることが奇跡的なことなんだな」と感じました。

この物語の主人公は、カフェのマスターとシドニーで仕事をしているマークです。

マークが、日本人の妻であるアツコとの出会いをマスターに話すシーンがあります。

時系列にするとこんな感じです。

時系列

アツコは中学時代に、英語クラブの顧問が持ってきた外国のペンフレンド募集で、シドニーのグレイスという女の子とペンフレンドになった。

時がたち、アツコはグレイスに会うためにシドニーへ行った。そこで、マークと出会った。

マークと仕事をしていたマスターは、アツコに翻訳家の仕事を紹介した。

アツコが翻訳家になれたのは、マスターと出会ったからです。

アツコがマスターと出会えたのは、マークと出会えたからです。

アツコがマークと出会えたのは、グレイスとペンフレンドになったからです。

アツコがグレイスとペンフレンドになったのは、英語クラブの顧問の先生がペンフレンド募集をしていたからです。

アツコがペンフレンドの募集ができたのは、グレイスの学校とアツコの学校が姉妹校だったおかげです。

このように考えると、アツコがマークと出会って翻訳家になれたのは、様々な人のおかげと言えます。

このことをマスターはこのように言っています。

そうなんだよ、わからないだろう?

でも確実にいるんだ。さかのぼっていくと、繋がっている手がどこまでも無数に増えていくんだ。

どの手がひとつでも離れていたら、ここにはたどりつけなかった。

どんな出会いも、顔もわからない人たちが脈々と繋いできた手と手の先なんだよ。

青山美智子「月曜日の抹茶カフェ」株式会社 宝島社 p180

マスターのこの言葉に、はっとさせられました。

自分の人生を振り返ってみてください。

  • 進学する高校が違っていたら・・・
  • 就活の時に違う就職先を選んでいたら・・・
  • あの時人事異動が無かったら・・・
  • あの時、あの人に出会わなかったら・・・

これは、自分の選択だけでなく、他の人の選択も関係してきます。

例えば、高校で友人に出会ったことが、大事な分岐点だったとしましょう。

これは、自分がその高校へ進学することに加えて、友人も同じ高校に進学する必要があります。

自分だけでなく、他の人が人生の中で様々な選択をしていると考えると、その選択肢によって無限の平行世界(パラレルワールド)が存在することになります。

その無限にある平行世界のひとつが、今ここにいる世界です。

“あの時の選択”がどれかひとつでも違っていたら、今の自分はいないかもしれない。

今ここにいることが奇跡的だなと感じます。

スマホと人間の共通点

次に紹介するのは、「吉日」という話に出てきた言葉です。

この言葉を読んだとき、チャレンジする勇気をもらえました。

「吉日」では、京都に店を構える老舗茶屋の息子、福居吉平が主人公です。

老舗の茶屋が東京に支店を出店することになり、その責任者に任命された吉平。

しかし、吉平は馴染みの京都を離れて、新しいことに挑戦することへ不安を感じていました。

そんな不安を感じている中で、マーブル・カフェのマスターに誘われ、カフェ内でイベントを開催します。

そのイベントの最中、吉平は新しく買ったスマホがうまく扱えず、スマホに対して愚痴を言ってしまいます。

その時、お客としていた女性にこのように言われます。

スマホって、そもそも最初から最後まで未完成なんです。

青山美智子「月曜日の抹茶カフェ」株式会社 宝島社 p207

スマホは、変化していく環境に適応するために、アップデートを繰り返していきます。

アップデートにより不具合が起きることもありますが、その失敗を重ねて改良されていきます。

そのままの姿で新しいことにトライしたり、できることが広がったりするって、すごく素敵なことだと思うんです。

青山美智子「月曜日の抹茶カフェ」株式会社 宝島社 p208

この言葉を聞いた吉平は、スマホと人間は似ていると感じます。

そして、東京支店の責任者になることの不安が払拭されていきます。

 

たしかに、人間も体験や知識を通して、日々アップデートされていきます。

定期的にアップロードされるスマホと同じように、人間も日々成長しているのだと思います。

新しいことを始めたり、チャレンジする時には、「もし失敗したらどうしよう」という不安が付きものです。

ですが、それはスマホのアップデートと同じで、より良いものにしていくための手段でもあります。

アップデートで不具合が起きるように、失敗はするかもしれないけれど、アップデートしたことで快適になることもあります。

「この経験は、私のアップデートだ!」と思えば、新しいことにチャレンジする勇気が出る気がします。

言葉の宝物が増えていく

最初に書きましたが、青山美智子さんの小説は、勇気をもらえる言葉にあふれています。

私は小説などの本を読んだときに、心に刺さった言葉をノートにまとめています。

青山美智子さんの本を読むと、そのノートにどんどん言葉が増えていきます。

そして、落ち込んだときや悩んだときにその言葉を見返しては、その言葉から勇気をいただいています。

そんな自分だけの”言葉の宝物”を発見できるのが、青山美智子さんの小説だと思います。

 

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この記事を書いた人

はじめまして。
あらいぐまと申します。
読書とソロキャンプが趣味の28歳の会社員。
ミステリ小説多めです。
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