こんにちは、あらいぐまです。
今回は、道尾秀介さんの「N」を読みました。
この本は、6つの短編で構成されています。
ただ、普通の短編集じゃないんです。
今までに体験したことのない仕掛けが用意されています。
1章ごとに上下反転させて印刷されているのは、章ごとの物理的なつながりを無くすため。
章ごとの物理的なつながりを無くすことで、どの章から読んでも良いようになっています。
こんな本読んだことありますか?
最初発売を知った時、斬新な試みだなと驚きました。
道尾さんの小説は、斬新な試みをすることがありますよね。
最近だと、「いけない」が印象に残っています。
「いけない」では、物語の最後に写真を見せることで、物語が一変するという仕掛けでした。
その最新作が2022年9月30日に出版されました。
体験型ミステリという新しい読書体験ができます。
斬新な小説を書く一方で、「雷神」のような本格的なミステリー小説も書いてしまう。
「N」とはまた違った魅力がありますので、おすすめです!
斬新な仕掛けがしてある「N」は、読む順番によって何が変わるのでしょうか。
ちなみに私は、こんな順番で読み進めました。
①笑わない少女の死
②名のない毒液と花
③眠らない刑事と犬
④落ちない魔球と鳥
⑤消えない硝子の星
⑥飛べない雄蜂の嘘
登場人物の印象が変わる
まず私が感じたのが、物語を読む順番によって、登場人物の印象が変わることです。
例えば、実際にある物語で、なんだか怪しい人が出てくるシーンがあります。
しかし、その怪しい人は、別の物語でメインの一人や重要な人物として書かれています。
別の物語を読んだ後だと、その人の人柄や思いを知っているため、その怪しい人物が信用できる人物であると読者は判断できるようになります。
しかし、読む順番によっては、ただの怪しい人としか判断できません。
こう考えだすと、登場人物に対する読者の偏見があると感じました。
読者は、主人公の目を通して登場人物を理解するしかありません。
つまり、主人公の印象がそのまま私たち読者の印象になってしまいます。
ですが、その登場人物が別の物語で主人公になっていた場合はどうでしょうか。
その人の人柄や考えていることが読者にも詳しく伝わるため、印象が変わるのではないでしょうか。
「N」では、このように登場人物の印象が物語によって変化していきます。
そのため、「もしこの話を先に読んでいたら、この人に感情移入できないな・・・」なんてことが起きたりします。
物語の味わい方が変わる
登場人物の印象だけでなく、物語の印象も変わります。
例えば、Aという物語があったとします。
別のBという物語では、Aのその後の物語が書かれており、悲しい結末を迎えます。
Aを読んでからBを読むと、時系列として分かりやすく、最後悲しい結末を知ることになります。
しかし、Bを読んでからAを読むと、悲しい結末を知った上で読み進めることになります。
時系列で読んだ時とは、また違う味わい方ができるのです。
常識を破る読書体験
1章ごとに上下反転で印刷されていたり、読む順番によって物語の受け取り方が変化したりと、普通の読書では味わえないような体験をしました。
印刷の向きは、読者が読みやすいように揃える。
1章から順に読み進める。
読書に対するこのような常識を破っており、新鮮で面白かったです。
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