こんにちは、あらいぐまです。
今回は、芦沢央さんの「火のないところに煙は」を読みました。
今作は、作者の芦沢央さん自身が主人公となり、怪談を語ることで物語は進んでいきます。
前回読んだ「許されようとは思いません」が面白かったので、今回も期待してました。
「火のないところに煙は」 を読み終えた感想として、じわじわ迫ってくるような怖さでした・・・
あっと驚くシーンや派手な怖さは無いけれど、自分の日常に浸透してくる怖さです。
前回読んだ「許されようとは思いません」とは怖さの種類が違いました・・・
許されようとは思いません・・・・・霊的なものではなく、人間の怖さ。
火のないところに煙は・・・・・・・霊的な怖さ+人間の怖さ。ホラー×ミステリーの要素あり。
また、一般的なホラー小説よりも霊的な怖さは少ないように感じました。
霊的な怖さもありつつ、人間の怖さやミステリーの要素もある小説だと思います。
ホラー×ミステリー
ホラー小説の短編というと、1話完結を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
TV番組で例えると、「ほん怖」みたいなイメージです。
「火のないところに煙は」は、6つの章で構成されています。
5章までは1話完結に見えますが、最終章で全てが繋がります。
1話ごとに、その怪異の原因が語られますが、最終章を読むと本当の原因が分かるようになっています。
作者が最終章で本当の原因を見つける過程が、探偵小説の探偵そのものなんです。
「第3話で出てきた〇〇さんの発言に違和感があった」や「あの行動の本当の意味は・・・」など、ミステリ小説の推理を読んでいるかのようでした。
「火のないところに煙は」の最大の特徴は、このホラー小説×ミステリーだと思っています。
ミステリー小説が好きな方に楽しめるホラー小説となっています。
死の恐怖
第4話で登場する拝み屋と呼ばれる陣内は、死者に対しての祈りについてこのように言っています。
「その霊との縁を作りたくなければ、寄り添うように語りかけてはいけません。(中略)たとえば、交差点に花が添えられているのを見かけて手を合わせることも注意が必要です。人のために祈れるのは素晴らしいことですが、関わりのない死者に対して祈りを捧げることは、それまで存在していなかった縁を自ら作ってしまうことになります」
これと似たような話を、子供の頃に聞いた覚えがあります。
それは、道端で死んでいる猫のような動物に対して、「かわいそう」と思ってしまうと、自分も同じ目に遭うという話です。
子供の頃にこの話を聞いて以来、道端で死んでいる動物をあまり見ないようにしてきました。
対象が人間ではありませんが、死に対して自分から縁を結ばないという点では同じだと思います。
なぜ、そのように霊や死に対して距離を置こうとするのでしょうか。
それは、死が恐怖の対象であり、畏怖すべきものだからだと思います。
死=恐怖・畏怖
そのため人は、死という恐怖を自分の日常に入れ込む行為を避けているんだと思います。
こう考えると、葬式にも同じような意味合いがあるのではないかと思います。
葬式という非日常的な式を挙げて、畏怖すべき死を身近に感じないようにしているのではないかと思います。
今回は、芦沢央さんの「火のないところに煙は」を読みました。
ホラー小説ですが、ミステリー要素もあるため、ミステリー小説好きの方も楽しめると思います。
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