こんにちは、あらいぐまです。
今回は、青山美智子さんの「赤と青とエスキース」を読みました。
青山美智子さんと言えば、2021年の本屋大賞で2位になった「お探し物は図書室まで」や「木曜日にはココアを」で有名です。
青山美智子さんの本には、印象的な言葉があふれているんですよね。
素敵な言葉が多すぎて、付箋でいっぱいになってしまいます。
読者は、登場人物が悩んでいる姿を自分に重ね、登場人物に向けられた、考えさせられる言葉や温かい言葉が読者の胸にも刺さるのだと思います。
この「赤と青のエスキース」でも、今までの作品のように印象的な言葉が登場します。
ただ、今までの小説とは違い、ミステリーの要素が強いと感じました。
章ごとに話が分かれているのですが、それぞれの関連性が分かりませんでした。 最終章を読むと、「そうだったのか!」と一気に納得しました!
各章のメイン人物
第1章・・・オーストラリアに留学中の大学生・オーストラリアに住んでいる日本人の学生
第2章・・・絵画の額縁職人をしているが、このまま仕事を続けていくべきか悩んでいる男性
第3章・・・以前アシスタントだった弟子が、売れっ子になってしまい、悲観する漫画家
第4章・・・パニック障害に悩む女性
どの登場人物にも「悩んでいる」という共通点があります。そして、その悩んでいる人が前を向けるような言葉で溢れています!
玉手箱
「まあでも、誰でも玉手箱を持っているものなんじゃない?ただ、玉手箱を開けたらあっという間に老人になるっていうのは違うと思うの。そうじゃなくて、箱を開いて過去をしみじみ懐かしんでいるときに、自分が年を取ったことを知るのよ、きっと」
「そのときに年を重ねた自分のことを悲しく思わないで、誇りを持てるように私はなりたいの。あの頃はよかったなあって嘆くんじゃなくて、箱の中にいる若い私にちゃんと胸が張れるように」
「赤と青とエスキース」 青山美智子 株式会社PHP研究所 p39-40
玉手箱っていう表現が素敵ですよね。
この言葉を読んで、真っ先に思い浮かんだのが、スマホの写真フォルダです。
なんとなくフォルダ内の写真を見だして、「なつかしいな」と思いながら、時が経ってしまったことを実感する。
これって、小説の中で言っていた玉手箱だと思うんです。
スマホの写真フォルダ=現代の玉手箱
思い返してみると、私もよく玉手箱を開いています。
大学生時代の楽しそうな写真を見つけ、時が経ってしまったと悲観的になってしまうことがありました。
玉手箱を開ける時に「今も楽しいぞ!」って言えるくらい胸を張って生きようと思います。そんな勇気をもらえる言葉でした!!
人からの評価や意見に左右される
「鏡もカメラもなかった大昔って、自分の顔だけよくわからないまま一生を終えていたんだよな。それ、すごいことだな。(中略)そういう時代の人たちは、だから絵を描いて相手の顔を伝えたのかもしれないなって思うんだよね。もし実物よりイケメンに描いてもらったら、一生それが俺だと思って生きていけるんだよな。それって幸せだな。」
逆でも同じことだ。(中略)だから褒めてほしくて、認めてもらいたかったのかもしれない。人からの評価ばかり気にしていたのは、そこだったのかもしれない。
人のことはハッキリ見えるけど、自分のことはまったくわからない。鏡やカメラがあったって、結局それは変わらない。
「赤と青とエスキース」 青山美智子 株式会社PHP研究所 p129
鏡やカメラがある現代では、自分の外見は分かります。
しかし、自分の内面や能力までは分かりません。
そういった自己評価が難しいものを、人からの評価に頼り、自分を肯定しているのだと思います。
今はSNSで自分の意見が言いやすい時代です。
そんな中で、人からの評価が目に見える形で数値化されています。
・TwitterをはじめとするSNSの「いいね」数
・Youtubeの登録者数
・ライブ配信の視聴者数
人からの評価が数値化されているため、人はその数値を多く獲得することを意識してしまいます。
私自身、Twitterの投稿で「いいね」が付くと嬉しいですし、多く欲しいと思ってしまいます。
それがダメなことだとは思いませんが、時々虚しくなる時があります。
さらに、評価が数値化しているのは人だけではありません。
例えば「食べログ」では、一般の人が星の数でお店を評価しています。
皆さんも星の数を参考にして、お店を選んだことがあると思います。
とても便利だとは思いますが、「人の意見に左右されているなぁ」と感じることがあります。
SNSの「いいね」の数、食べログの星の数・・・・
人からの評価や意見を気にしすぎて日々を過ごしていないでしょうか。
人からの評価や意見ばかり気にしているな・・・
100%気にしないのは無理でも、少しは気にしないようにしよう。
・「いいね」の数で落ちこまない
・ふと気になったお店は、食べログで調べずに入ってみる
まとめ
・今までの小説とは違い、ミステリー要素あり。
・悩んでいる人が登場し、自分と重ねて読める。
・青山さんらしい印象的な言葉があふれている。
青山美智子さんの本は、読んだ後に温かな思いがする気持ちのいい小説です。
言葉のセンスも素敵で、きっとお気に入りの言葉が見つかるはずです。
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