【感想】本当の敵とは・・・【同志少女よ敵を撃て 逢坂冬馬】

同志少女よ敵を撃て 感想
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こんにちは、あらいぐまです。

今回は、逢坂冬馬さんの「同志少女よ敵を撃て」を読みました。

この本、以前から話題になっており、気になっていましたが、何となく手が出ない小説でした。

それは、この本が戦争を描いた小説だったからです。

戦争小説は読んだことが無く、読まず嫌いしていました・・・

しかし、2022年本屋大賞にノミネートされたことが、最後の一押しとなり、読む決意に至りました。

そして、近所の書店で購入するも、分厚い!!

単行本で約500ページもあります・・・

戦争小説を読んだことが無い私が、果たして最後まで飽きずに読めるのか?

そう思ったのですが、最後まで読んだ結果・・・

あらいぐま

読まない理由を探してないで、もっと早く読んでおけばよかった・・・

世界観に一気に引き込まれ、読む手が止まりませんでした。

登場人物と共に、戦場を疑似体験するような感覚でした。

また、ちょうどこの小説を読んでいた時に、ロシアがウクライナへ軍事侵攻するというニュースを見ました。

ロシアとウクライナとの関係を知るきっかけにもなる本だと思います。

目次

あらすじ

第二次世界大戦中のソ連

モスクワ近郊の村に住むセラフィマの日常が、突然崩れ去る。

ドイツ兵によって蹂躙され、母親や村人も全員殺害されてしまう。

そんな中、ソ連赤軍の女性狙撃兵であるイリーナがセラフィマを助けるが、

イリーナは母親もろとも村を焼いてしまう。

イリーナに「戦いたいか、死にたいか」問われたセラフィマは、

母親を撃ったドイツ兵と母の遺体を焼き払ったイリーナへの復讐を決意し、

イリーナが教官を務める女性狙撃兵の訓練学校で狙撃兵になることを目指す。

その後、狙撃兵としてスターリングラードなどの凄惨な戦地を経験したセラフィマが目にする

真の敵とは?

女性狙撃兵

この小説の主人公セラフィマは、女性狙撃兵として戦争に参加しています。

女性の狙撃兵が実際にいたことを初めて知りました。

調べてみると、第二次世界大戦で女性が軍事行動に参加したのは、ソ連だけだったそうです。

たしかに、戦争映画の多くは戦場の男性を描いていますよね。

さらにこの本には、309名を射殺したとされるソ連の女性狙撃手リュドミラ・パヴリチェンコが登場します。

狙撃兵を目指す主人公たちにとって憧れの存在として描かれています。

ただ、リュドミラ・パヴリチェンコのように後世に名を残すのは、ごく一部です

多くの兵士は、犠牲者数の数字の中に埋もれてしまっています

本当の「敵」とは

戦時中の「敵」とは、戦っている敵軍のことを指します。

セラフィマにとっての「敵」とは、ドイツ軍のことでした。

またセラフィマは、「女性を守りたい」という信念のもと戦っていました。

しかし、様々な戦場を経験する中で、その「敵」が揺らいでいきます。

・ドイツ軍により暴行を受けるソ連の女性

・ソ連軍により暴行を受けるドイツの女性

・ドイツ軍が自国の女性を戦地に連れていき、暴行を加える

当初は、ドイツ軍のみを「敵」としていましたが、ソ連軍に暴行を受けている女性の存在を知り、味方であるはずのソ連軍にも嫌悪感を抱きます。

最終的に、セラフィマが決断した「真の敵」とは・・・・

あらいぐま

最後まで読んだとき、タイトルの「同志少女よ敵を撃て」の複雑な意味が分かり衝撃を受けました・・・

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻

現時点(2022年2月27日)で、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は激しさを増しています。

この本で以下のような記述がありました。

ロシア、ウクライナの友情は永遠に続くのだろうか、とセラフィマは思った。

逢坂冬馬「同志少女よ敵を撃て」株式会社早川書房 p473
あらいぐま

全然続いてないよ・・・セラフィマ・・・

ニュースを観ると、ウクライナでの激しい戦闘の様子が生々しく伝えられています。

このことは突然起きたことではなく、第二次世界大戦からも繋がっている問題だと実感しました。

この小説を読まなかったら、よくわからない遠い国のニュースで終わっていたかもしれません・・・

早くこんな悲惨なニュースが流れないようにと思うばかりです・・・

あらいぐま

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この記事を書いた人

はじめまして。
あらいぐまと申します。
読書とソロキャンプが趣味の28歳の会社員。
ミステリ小説多めです。
読んだ本の感想や考えたことを発信します!

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