こんにちは、あらいぐまです。
今回は、SNSで話題になっていた「近畿地方のある場所について」を読みました。
めちゃくちゃ怖いと話題になってました・・・
この本、普通の小説とは異なり「モキュメンタリー」という形式で書かれたホラー小説です。
モキュメンタリー:ドキュメンタリー風に書かれたフィクション
モキュメンタリーで書かれているからこそ、リアリティーを感じ怖さを演出します・・・
「近畿地方のある場所について」は、とある近畿地方の場所で起きる怪談がテーマになっています。
作中では、場所の特定となるため「●●●●●」と表現されています。
「●●●●●」で起きた怪談を読者からの投稿やインタビュー形式で紹介していきます。
1つ1つの怪談は「少し怖いな・・・」程度ですが、徐々に怪談同士のつながりが見えてくることにより、恐怖が倍増されていきます。
ただ、はっきりと理由や真相がわかるわけではありません。
何となく不気味なんです。
だから、より怖い。
得体のしれない怖さを常に感じながら読み進めていきます・・・
そしてラスト、今までの怪談すべてが繋がり、衝撃の展開が待っています。
読まなきゃよかった・・・
読み終えた人は、きっとそう言うでしょう。
最後のネタバレには極力触れず、主な3つの怪異について、まとめと考察をしていこうと思います。
怪談の考察、とても楽しかった!!
3つの怪異について考察
「近畿地方のある場所について」では、たくさんの怪談が紹介されていますが、結果的に3つの怪異が関わっています。
それは、「山へ誘うもの」・「赤い女」・「あきらくん」です。
それぞれのつながりや目的など考察していきます。
山へ誘うもの
「山へ誘うもの」は、女性を山へとおびき寄せる怪異です。
この怪異に魅入られた女性は、●●●●●で自らの命を投げ出します。
また男性の場合は、女性を誘う手伝いをさせられます。
その昔、●●●●●にある山の麓の村で「まさる」という青年がいた。
「まさる」は、母親と2人暮らしだったが、母親が亡くなり様子がおかしくなる。
様子がおかしくなった「まさる」は、村の女性から相手にされなくなってしまう。
ある晩、「まさる」は大きな石で、女性を殺害してしまったことで、村人からリンチに遭う。
その後「まさる」は、大きな石に自分の頭を打ち付けて死んでしまった。
この「まさる」の恨み・妬みが「山へ誘うもの」という怪異の正体です。
窓から山が見えるマンションで、自殺者が後を絶たなくなっていることから、怪異は山全体に影響を及ぼしていると考えられます。
さらに、周辺にいる子供たちの間で「ましろさん」という不気味な遊びが誕生し、子供の様子もどこかおかしくなっていることから、山を見ただけで怪異の影響を受けるのだと思われます。
また、「まさる」が持ってきた大きな「石」は、その後しめ縄を付けられ、祠に祀られることとなります。
その後、祠から「石」は盗まれ、●●●●●にある宗教団体の信仰対象へと変化していきます。
その宗教では、四隅に「女」と書かれた不気味なお札を作成していました。
そのお札は、シールとなり人々に広まっていき、魅入られた女性が●●●●●で自殺してしまう。
このことから「山へ誘うもの」は、山だけでなく「石」にも影響を及ぼしていると考えられます。
宗教団体が解体された後、「石」は関東の老人ホームで引き取られます。
そして、その老人ホームでは、集団自殺が発生してしまう・・・
ですが、●●●●●で死んだわけではなく、山に誘われたわけでもありません。
関東で起きたことを考えると、この「石」は「山へ誘うもの」とは別の怪異を宿している可能性があります。
つまり、もともとは「山へ誘うもの」の怪異の一部として存在していた「石」が、別の怪異になってしまったと考えられます。
赤い女
赤い服を着てジャンプをしている姿の怪異。
ある理由で母となる女性を求めるため、呪いを広めていきます。
「赤い女」という怪異について
息子の了(あきら)がある理由で自殺してしまいます。
精神を病んだ母親は、宗教団体へ入信。
そこで、「山へ誘うもの」の影響を受けた「石」の存在を知ります。
母親は息子を蘇らせようと、宗教団体解体に乗じて「石」を盗み出すことに成功。
宗教団体で作成していたお札をマネて、四隅に「了」と自分の息子の名前が入ったシールを作り、人々に呪いを広めていきます。
そして、誕生した「あきらくん」という怪異。
自らも自殺し「赤い女」の怪異となった母親は、「あきらくん」という怪異を育てるために母となる女性を求めて呪いを広めていきます。
あきらくん
母親が「山へ誘うもの」の力を使い蘇らせた息子の了(あきら)。
しかし、母親が蘇らせたのは、「ただ命を喰らうだけの何か」という怪異。
「あきらくん」に魅入られると、どこまでもついてきて「命」を喰らう。
喰らう命は人である必要はないので、身代わりとしてペットを飼わなければ、自分が死んでしまう。
もともとは●●●●●に住む小学生だったが、「山へ誘うもの」の影響により、子ども達の間で流行った「ましろさま」という遊びの生贄となり自殺してしまいました。
つまり、「山へ誘うもの」の影響で死んでしまった息子を蘇らせるため、母親自ら「赤い女」という怪異となり、「あきらくん」という別の怪異も生み出した。
まさに怪異が怪異を生み出してしまったのです。
ラストまで読まなきゃよかった・・・
ラストまで読んだ時、読まなきゃよかった・・・と思うほどの衝撃が待ち構えています。
今までのおかしな文章は、このための伏線だったのか・・・
また、「近畿地方のある場所について」には巻末に袋とじがあります。
袋とじには、怪談と関わりのある何枚かの写真が掲載されています。
この袋とじが怖いんです・・・
特に最後の写真がめちゃくちゃ怖かったです・・・
深夜、この袋とじを開けるのは、オススメしません・・・
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