こんにちは、あらいぐまです。
今回は、末永幸歩さんの「13歳からのアート思考」を読みました。
タイトルに「13歳からの~」とありますが、大人でも学ぶことが多い内容になっています。
むしろ、有名な絵画を鑑賞して次のように思ったことのある人は、ぜひ読んで欲しいです。
「何を表現しているか分からない」
「ミミズが這っているような絵」
私も有名な絵画を鑑賞したときに、同じことを思ったことがある・・・
アート思考とは
そもそもこの本の主題となっている「アート思考」とは何でしょうか。
①「自分だけのものの見方」で世界を見つめ、
②「自分なりの答え」を生み出し、
③それによって「新たな問い」を生み出す。
「アート思考」とは、まさにこうした思考プロセスであり、「自分だけの視点」で物事を見て、「自分なりの答え」を作り出すための作法です。
末永幸歩「13歳からのアート思考」ダイアモンド社 p13
「アート思考」=自分の頭で考えて、自分なりの答えを出すこと。
自分だけの視点で物事を考えるという「アート思考」は、アーティストだけに必要なものではなく、今を生きる私たちに必要なものです。
この本では、実際のアート作品を通じて、この「アート思考」を実践的に学んでいきます。
『緑のすじのあるマティス夫人の肖像』 アンリ・マティス作
『アビニヨンの娘たち』 パブロ・ピカソ作
『コンポジションⅦ』 ワシリー・カンディンスキー作
『泉』 マルセル・デュシャン作
『ナンバー1A』 ジャクソン・ポロック作
『ブリロ・ボックス』 アンディ・ウォーホル作
作品を鑑賞するうえで大切なこと
皆さんは、美術館などで絵画を見たとき、絵を見る時間と解説を読む時間どちらの方が多いですか?
思い返してみると、解説を読む時間の方が多かった・・・
もちろん、作者の考えやその時代背景を知るのも鑑賞のひとつです。
ですが、それだけで終わっていないでしょうか。
この絵に描いてあるのは何だろう。魚にもみえるし、海を表現しているのかな?
これは、焼けてしまった街を表しています。第一次世界大戦を経験した作者の体験から・・・
そうか、これは焼けた街を表しているのか。自分の考えは間違っていたな。解説に書いてあるのが正解だ。
作品を鑑賞したときに、自分の考えたことを間違いだとし、解説を正解としていませんか?
作者の考えや背景を知るという鑑賞の他に、作品と自分だけのやり取りという鑑賞も存在します。
作品と自分だけのやり取りなので、作者の考えを考慮せずに鑑賞してよいのです。
解説で「これは焼けた街を表している」と書かれていようが、自分で「海を表している」と思えば、自分の考えを大切にしてください。
・作品の背景とのやり取り・・・作者の考えや時代背景を鑑賞を学ぶ鑑賞
・作品とのやり取り・・・作品に対する自分の考えを大切にする鑑賞
作品とのやり取りは、音楽鑑賞に似ています。
音楽鑑賞は、それを聞いた人がどのように感じるかが大切です。
作詞家・作曲家がどのような思いで作ったのかを考える人は、あまりいないと思います。
アート作品の鑑賞もそれに似ています。
作品とのやり取りに関しては、作者の思いは無視して良いのです。
常識を覆した3つの作品
この本では、アートの世界の常識を覆した作品を3つ挙げています。
私自身の「アート作品」という常識も覆されました。
マルセル・デュシャン作
『泉』という作品は、市販されている便器に作者のサインを書いただけの作品です。
それまでのアート作品は、作品の美しさに目を向けられていました。
しかし、この作品は作品の美しさではなく、作品を生み出す過程である探求に目を向けられています。
便器という皆が嫌がるもの(美しくないもの)を作品とすることで、美しい作品を生み出すという常識を覆した作品です。
ジャクソン・ポロック作
『ナンバー1A』 は、一見何が書いてあるかわからない作品です。
ですが、作者の狙いはそこにあります。
基本的に絵画は、何らかのイメージを映し出すものです。
例えば、そこに犬の絵があれば、「犬」という具体的なイメージがあります。
『ナンバー1A』 は、その具体的なイメージを持たない絵なのです。
ただそこに絵具とキャンパスがあるという作品です。
「絵画=何らかのイメージを映し出すもの」という常識を覆したのです。
アンディ・ウォーホル作
『ブリロ・ボックス』 は、食器洗剤のパッケージが箱に印刷されているだけの作品です。
皆さんは、アート作品と言えば何を想像するでしょうか?
きっと、絵画や建築物、彫像などを思い浮かべた人が多いでしょう。
スーパーで売っている食器洗剤のパッケージはいかがでしょうか?
おそらく、アートではないと思う人が多いはずです。
それは、大衆向けの商品だからですか?大衆向けの商品はアートではないと誰が決めたのでしょうか?
『ブリロ・ボックス』 は、そのようなアートの壁という常識を覆した作品なのです。
自分だけの答えを見つけること
以下、この本で印象に残った言葉を引用します。
「アーティスト」としばしば混同されるのは「花職人」と呼ばれる人たちでした。
「花職人」は、「興味のタネ」から「探求の根」を伸ばす過程をないがしろにして、「タネ」や「根」のない「花」だけを作る人です。
彼らはたしかに日々忙しく、真面目に手を動かしていますから。ややもすると懸命に「探求の根」を伸ばしているように見えます。
しかし、彼らが夢中になってつくっているのは、他人から頼まれた「花」でしかありません。
自分たちでも気づかないまま、他人から与えられたゴールに向かって課題解決をしている人
それが「花職人」なのです。
末永幸歩「13歳からのアート思考」ダイアモンド社 p 299-300
この言葉を読み、はっとさせられました。
絵画の解説のように、他人の意見に流されすぎてはいないでしょうか。
TVで紹介されたからと行列ができる飲食店・・・
商品を買うときに、他人の口コミばかり気にしてしまう・・・
自分の視点や考えは、そこにありますか?
自分の知らないうちに「花職人」になっていませんか?
そんなことを考えさせられた言葉でした。
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