【感想・名言】復讐は許されるのか・・・【ちぎれた鎖と光の切れ端 荒木あかね】

ちぎれた鎖と光の切れ端     ネタバレ
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こんにちは、あらいぐまです。

今回は、荒木あかねさんの「ちぎれた鎖と光の切れ端」を読みました。

SNSで話題になっており、とても気になっていた1冊。

単行本で400ページ以上ありますが、読む手が止まらなかったです。

何といっても最大の特徴は、2部構成の物語ということです!

1度で2冊分の小説を読んだかのような満足感を得られます。

「ちぎれた鎖と光の切れ端」では、「復讐」をテーマにしています。

復讐とは?

正義とは?

物語の面白さだけではなく、考えさせられる内容でもありました・・・

目次

あらすじ

ちぎれた鎖と光の切れ端 感想

「私たちが絆を断った日、島は赤く染まった。」

復讐を誓う男がたどり着いた熊本県の孤島(クローズドアイランド)で目にしたのは、仇(かたき)の死体だった。
さらに第二、第三の殺人が起き、「第一発見者」が決まって襲われる――。

2020年8月4日。島原湾に浮かぶ孤島、徒島(あだしま)にある海上コテージに集まった8人の男女。その一人、樋藤清嗣(ひとうきよつぐ)は自分以外の客を全員殺すつもりでいた。先輩の無念を晴らすため--。しかし、計画を実行する間際になってその殺意は鈍り始める。「本当にこいつらは殺されるほどひどいやつらなのか?」樋藤が逡巡していると滞在初日の夜、参加者の一人が舌を切り取られた死体となって発見された。樋藤が衝撃を受けていると、たてつづけに第二第三の殺人が起きてしまう。しかも、殺されるのは決まって、「前の殺人の第一発見者」で「舌を切り取られ」ていた。

そして、この惨劇は「もう一つの事件」の序章に過ぎなかった――。

講談社BOOK倶楽部 HP
あらいぐま

孤島・連続殺人・第1発見者が殺される・・・・

それだけで、めちゃくちゃ読みたくなりますね!

最大の魅力~2部構成~

「ちぎれた鎖と光の切れ端」の最大の魅力は、2部構成ということです。

1冊の小説で、2冊を読んだかのような満足感が味わえます!

1部では、孤島を舞台に連続殺人事件が起きます。

いわゆる「クローズド・サークル」です。

誰が、どうやって殺人を犯したのか(フーダニット、ハウダニット)。

このことが論理的に解き明かされ、本格ミステリを味わうことができます。

1部だけでも充分に面白いのですが、それから3年後という視点で2部が始まります。

2部では、犯人はなぜ殺人を犯したのか(ホワイダニット)が解き明かされます。

最初は、1部と全く別の物語だと感じますが、徐々に1部とのつながりが見えてきます。

そして明かされる衝撃の真実

徐々に明かされる真相に、読む手が止まらなくなります。

復讐・正義について

名言

「ちぎれた鎖と光の切れ端」は、「復讐」をテーマにしており、復讐・正義について考えさせられました。

中でも、私の心に刺さった言葉が2つありました。

決して許されない殺人

人はどんな理由があっても、人を殺しちゃいけないんですよ。

人は人を殺しちゃいけない、そこには一切の例外を認めない。

そういう前提条件がないと、私たちは社会を信頼することもできないし、他人に歩み寄ることもできません。

この人は悪人やから何されてもいいとか、殺されても構わないとか、人が人の生き死にを勝手に判断することはひどく残酷なことです。

荒木あかね「ちぎれた鎖と光の切れ端」株式会社講談社 p330

殺人はどうしていけないのか。

法律で決まっているから?

倫理的にダメだから?

合ってはいるのでしょうが、根本での納得にはつながらないと思います。

ですが、他人や社会を信頼できなくなるから

と考えればどうでしょうか。

いつ殺されるか分からない社会で、他人なんて信頼できないですよね。

外に出て買い物することも困難だと思います。

お金を払っても商品を渡さずに殺される可能性があります。

殺人を許した社会では、経済活動がまともに機能しなくなります

なので、国家として殺人を禁止し、法律で厳しく取り締まっているのです。

ですが、例外的に国家が殺人を許可する場合もあります。

それが、死刑制度です。

途方もない議論の末、法律のもと例外的に認めた死刑制度。

賛否両論があるため、死刑制度の是非につながる問題でもあります。

復讐の正義

理不尽に被害を被ったとき、あるいは誰かが酷い目に遭っているのを目撃したとき、それを許せないと思うのは確かに自然なことです。

この感覚がなければ自分自身を守ることもできないし、正義を貫くこともできない。

でも、私たちは決して独りよがりな復讐感情で人を裁いてはなりません

法治国家の下では刑罰が与えられますが、それは途方もない議論と、数え切れないほどの経験を重ねた上で成り立っているんですよ。

荒木あかね「ちぎれた鎖と光の切れ端」株式会社講談社 p330

「目には目を、歯には歯を」

これは、紀元前1800年頃にできた「ハンムラビ法典」に記載された条例です。

復讐と聞くと、真っ先に思いつく言葉ではないでしょうか。

これは、過剰に報復することを禁止した「同害報復」を定めた条例です。

「同害報復」とは、被害と同等の報復を行うこと。

現代に置き換えた時、個人だけの判断で復讐を許してしまうと、過剰な報復になる恐れがあります。

また、犯した罪を個人だけの判断で決めてしまうのは、あまりにも独りよがりです。

そのため、個人での復讐を禁止し、代わりに法律の下で司法が判断するのです。

きれいごとを並べれば、このように言えますが、もし自分の大切な人が奪われたら?

はたして、同じことが言えるのでしょうか。

それに、犯した罪と刑罰が釣り合っていないことも多々あります

例えば、殺人を犯したのに無罪になるとか・・・

個人的な復讐はダメと頭では分かっていますが、いざ当事者になると納得できるのか自信はありません・・・

あらいぐま

復讐してしまう気持ちも少しわかります・・・

あらいぐま

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この記事を書いた人

はじめまして。
あらいぐまと申します。
読書とソロキャンプが趣味の28歳の会社員。
ミステリ小説多めです。
読んだ本の感想や考えたことを発信します!

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