【感想・名言】悩んでいる時に読みたい本【青山美智子 お探し物は図書室まで】

お探し物は図書室まで
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こんにちは、あらいぐまです。

今回は、青山美智子さんの「お探し物は図書室まで」を紹介したいと思います。

この小説は、5編で構成されている短編です。

それぞれ悩みを抱えている人たちが主人公となり、ある図書館で本を紹介してもらいます。

一見、悩みとは関係がなさそうな本ですが、その本が悩みを解決するヒントを与えてくれます。

この本の魅力は、胸に刺さる言葉の多さだと思います。私はいつも本を読む際、気になった言葉がでてくるとその箇所に付箋を貼るのですが、この本では、貼り付けた付箋が多かったです。

ビジネス本の時は、付箋も多くなるのですが、小説でここまで貼ったのは、初めてでした。

それだけ私の胸に刺さる言葉が多かった小説という事です。

刺さりすぎました。

以下、私が個人的に胸に刺さった言葉をご紹介していこうと思います。

とても暖かな物語でしたので、読んでみると暖かな気持ちになります。

目次

大きな卵に出会ったら

明香は、新卒で入社した会社で婦人服販売員として働いていた。しかし明香は、このままここで働いて良いのか、転職した方が良いのか迷っていた。そんな中、図書室の司書に「ぐりとぐら」を読むよう勧められた。

ぐりとぐらの内容(ざっくり)

ぐりとぐらはいつものように森の中へ栗拾いに行く。

そこで、大きな卵を見つけ、それをカステラにする。

私はきっと、森の中に入ったところだ。

何ができるのか、何をやりたいのか、自分ではまだ分からない。

だけどあせらなくていい、背伸びをしなくてもいい。

今は生活を整えながら、やれることをやりながら、手に届くものから身につけていく。

備えていく。森の奥で栗を拾うぐりとぐらのように。

とてつもなく大きな卵に、いつどこで出会うのか分からないのだから。

青山美智子「お探し物は図書室まで」p57

ぐりとぐらは、大きな卵を見つけた時に「カステラを作ろう!」となりました。

オムライスとかゆで卵ではなく。

ぐりとぐらは、あらかじめ卵で何が作れるのか知っていたから、カステラを作る選択をしました。

このことは、引用で挙げた通り、私たちの生活にも言えることではないでしょうか。

ぐりとぐらがいつも栗拾いに行くように、私たちも日々暮らしています。

そして、いつの日か大きな卵が目の前に現れるかもしれません。

そこで、ゆで卵しか作れないのか、オムライスなのか、カステラなのか。

それは、その人の選択だと思いますが、知っていないと選択肢にも出てきません。

大きな卵を見つけた時に、選択肢が増えるよう日々行動をしなくてはと思いました。

やりたいことのタイミングとは

諒は、いつかアンティークショップを開きたいと思っているが、その「いつか」が踏み出せないでいる。

諒「なんだか僕には、ないものばかりで。お金もない、時間もない、勇気もない。いつかやりたいと思いながら、動くために必要なものを何も持っていないんです。」

                      

安原「ない、がある時点でだめです。その『ない』を目標にしないと。」                                       

青山美智子「お探し物は図書室まで」p103

この言葉を聞いて、思い出した言葉があります。

学生は、お金はないが時間がある。

社会人は、お金はあるが時間がない。

お年寄りは、お金もあるし時間もある。しかし、体力がない。

自分が思っている完璧なタイミングなど存在しない。

やりたいと思ったら、すぐやらなければいけない。

一生できなくなるかもしれないから。

この言葉を聞いて、まさにその通りだなと思います。

何か新しいことを始めようとする時、何かと言い訳をしてしまいます。

「お金がもうちょっと貯まったら」とか「休みがないからな」とか

お金もあって時間もあって体力があるなんて、お金持ちの大学生くらいしかいないと思います。

完璧なタイミングなんて存在しないので、やりたい時にやらないと後悔してしまうかもしれません。

メリーゴーランドに乗っているみたい

崎谷夏美は、子どもが生まれたことをきっかけに、今までの部署から違う部署へ異動させられてしまった。そこは、自分がやりたい部署ではなく、やりたい仕事ができずにいた。そんな中、子育ても思うようにいかず悩んでいた。

ああ、崎谷さんもメリーゴーランドに乗っているとこか。

よくあることよ。

独身の人が結婚している人をいいなあって思って、

結婚している人が子どものいる人をいいなあって思って。

そして子供のいる人が、独身の人いいなあって思うの。

ぐるぐる回るメリーゴーランド。

面白いわよね。

それぞれが目の前にいる人のおしりを追いかけて、先頭もビリもないの。

つまり、幸せに優劣も完成形もないってことよ

人生なんて、いつも大狂いよ。どんな境遇にいたって、思い通りにはいかないわよ。

でも逆に、思いつきもしない嬉しいサプライズが待ってたりするでしょう。

結果的に、希望通りじゃなくて良かった、セーフ!なんてこといっぱいあるんだから。

計画や予定が狂うことを不運とか失敗って思わなくてもいいの。

そうやって変わっていくのよ、自分も、人生も。

青山美智子「お探し物は図書室まで」p158

「となりの芝は青い」他の人の持っているものは美しく見えるのは、その通りだと思います。

それはまるでメリーゴーランドみたいです。

私が欲しいものを手に入れているAさんは、

Bさんが持っているものを欲しいと思っている。

そして、Bさんは私のものを欲しいと思っている・・・

人を妬んだり羨ましく思ったりすると、このメリーゴーランドに乗ってしまうのかもしれません。

自分の可能性

浩弥は、デザイン学校を卒業したがイラストの仕事に就くことができなかった。しかたなく就職した会社に馴染めず辞めてしまった。

右手に載った飛行機を眺める。

160年前の人たちに、こんな乗り物があるって話しても誰も信じないだろう。

鉄が飛ぶはずがないって。そんなものは空想の世界の話だって。

俺も思っていた。

俺に絵の才能なんてあるわけがない、普通に就職なんてできるはずない。

でも、そのことが、どれだけの可能性を狭めてきたのだろう?

青山美智子「お探し物は図書室まで」p288

160年前まで遡らなくても、前であれば信じられないようなことが溢れています。

例えば、10年前は2つ折りのケータイが主流で、スマホのようなケータイが主流になるなんて思いもしませんでした。

youtubeがこんなに当たり前になると思いませんでした。10年前だとニコニコ動画の勢いがすごかったですけど、今は面影すらなくなってしまいました。

今の常識は、10年後の常識ではなくなるかもしれません。

当たり前だと思っていたことが実はそうではありません。

これは、個人でも言えることだと思います。

世間や自分の常識で自らの可能性を狭めていないでしょうか。

のこりもの

定年退職した正雄は、残りの人生をどう生きるのか悩んでいた。

「小町さん、言ってたでしょう。12個入りのハニードームを10個食べたとして、箱の中にある2つは『残り物』なんでしょうかって。わたしはその答えがわかったみたいです。箱の中にあるふたつは、ひとつめに食べたハニードームと何も違わない。どのハニードームも等しく素晴らしい。

私が生まれた日と、ここに立っている今日、そしてこれから来るたくさんの明日。どの日だって1日の大切さになんの違いもない。

青山美智子「お探し物は図書室まで」p295

今日が残された人生で一番若い日です!

1日1日はそれぞれ平等に大切な1日です。

約に立つか、モノになるか、これまでのわたしを邪魔していたのは、そんな価値基準だったのかもしれない。でも、心が動くこと自体が大切なのだと思うと、やってみたいことはいくつもあった。目に映る日々を、豊かに味わっていこう。ワイドビューで。

(中略)

わたしはわたしを退いたりしない。

これからは、好きなものを大切に集めていくのだ。わたしだけのアンソロジーを。

青山美智子「お探し物は図書室まで」p299-300

何か新しいことを始めようとするとき、役に立つかどうかで判断していませんか?

例えば、資格の勉強についても、後々役に立ちそうだからと興味もない資格を取ろうとしたり。

私も経験があるのですが、そういうものって長続きしないんですよね。もし、資格を取ったとしても、興味がないので、すぐ忘れてしまいます。結局、何も身につかなかったということになりかねません。

新しく何か始めるとしたら、心が少しでも動くことの方が良いと思います。

たとえ役に立ちそうになくても、心の栄養になりますし、生きる活力にもなります。

最後に

それぞれの話を読んで、私の心に刺さる言葉が多かったです。

本棚に置いておいて、悩みがあるときに読み直したい本だと思いました。

再度読む時には、今と悩みも変わっているでしょうから、違う文章が刺さるかもしれません。

今回、全部は紹介しきれませんでした。読む人にとって「刺さる言葉」は違うと思いますので、読んで見ることをお勧めします。

きっと、お気に入りの言葉が見つかると思います。

あらいぐま

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この記事を書いた人

はじめまして。
あらいぐまと申します。
読書とソロキャンプが趣味の28歳の会社員。
ミステリ小説多めです。
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