こんにちは、あらいぐまです。
今回は、朝井リョウさんの「生殖記」を読みました。
朝井リョウさんの小説、大好きです。
最大の魅力だと感じでいるのが「モヤモヤしている感情の言語化」です。
日頃私たちが感じているモヤモヤした何とな~くの感情を言語化してくれます。
この「生殖記」では、この魅力を存分に味わうことができます。
わかる~、私のモヤモヤした思いが見事に言語化されてる・・・!!
印象に残った言葉が多く、本が付箋だらけになってしまいました。
感想とともに特に印象に残った言葉を紹介していきます!
語り手
「生殖記」の語り手には衝撃を受けました。
ただ、その正体は序盤で明かされます。
ヒトのことを俯瞰して語る様子から、最初は寄生獣のような生命体がヒトに寄生しているのだと思ってました(笑)
この語り手、口調がなんとも可愛らしい。
朝井リョウさんのエッセイを読んでいるような面白さがあります。
語り手の皮肉にクスっと笑って読んでました!
心に刺さった言葉
「生殖記」を読んで心に刺さった言葉を4つ紹介していきます。
鬼ごっこ
差し当たって命の心配をしなくてもいいヒトの個体の場合、根詰めて考えると精神が病んでしまうような本質的な事柄に追いつかれてしまわないよう、常に鬼ごっこをするみたいに生きている。
朝井リョウ「生殖記」株式会社小学館 p9
「鬼ごっこ」という表現が好きで印象に残っています。
将来の不安・仕事・子ども・親・生きる意味。
人は、不安・焦り・恐怖という「鬼」に追いつかれないよう日々過ごしています。
鬼が迫ってくる条件とは何か。
それは、“今この時間”に集中できない時です。
例えば、夜寝る前に不安なことが押し寄せてくる・・・
暇な時間に将来のことを考えてネガティブになる・・・
人は「鬼」に追いつかれないように、不安なことを考えないように、何かに没頭したり忙しくしています。
“今この時間”に集中できてさえいれば、「鬼」が迫ってくることはないですから。
死を知っているヒト独自の悩み
自分は必ず死ぬということと、その死までの大体の期間を把握している。
(中略)死を知っているがゆえに生まれる理想と現実のギャップに、不安や焦りを感じてしまうんだと思います。
朝井リョウ「生殖記」株式会社小学館 p40
死の期間を意識しているのは、自然界でヒトしかいないそうです。
人は死の期間を把握しているからこそ、たくさんの悩みが生じます。
22歳で就職して、30歳で結婚して子どもできて、40歳で会社の上の立場になり・・・
「今の時代、人それぞれだよ!」と言いながら、何とな~くの年代ごとのステージがある気がします。
実際、30歳になった私の周りでも「家の購入」という話が飛び交っています。
そして、そのステージに上がっていない自分をダメなやつだと思ってしまいます。
これって、死の時間(大体80年くらい)を意識しているからこそ生まれるものです。
80年という人生のモデルケースが、人々の意識に刷り込まされているから、ギャップに苦しむんだと思います。
共同体感覚の監視カメラ
どうでもいいという気持ちがかろうじて尚成の皮膚を突き破らないのは、会社を”今よりももっとよくしたい”という気持ち、共同体に貢献したいという気持ち、共同体感覚の見張り役がこの部屋にたくさん存在しているからです。
朝井リョウ「生殖記」株式会社小学館 p40
やりたくもない仕事。
会社の業績が上がろうが下がろうが、給料が変わらなければどうでもいい。
でも共同体感覚の監視カメラがあるから、仕事を懸命にやっているフリをする。
会社員の主人公は、共同体に貢献する気持ちが1ミリもありません。
私も仕事をしていて、そんな気持ちになるときがあります。
まさに、共同体感覚の監視カメラがあるから、社会人を演じている。
私が日頃感じていたモヤモヤを言語化してくれました。
共同体感覚の監視カメラに指摘されないよう演じてきます・・・
まとめ
「生殖記」は「正欲」に並ぶ衝撃作なのは間違いないです。
驚くべき語り手。
朝井リョウさんならではの解像度高めの鋭い文章。
その語り手が語るエッセイのような文章。
朝井リョウさんの魅力をこれでもかと表していると感じました。
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