【感想】後半の伏線回収に驚きます・・・【六人の嘘つきな大学生 浅倉秋成】

六人の嘘つきな大学生 感想 ネタバレ
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こんにちは、あらいぐまです。

今回は、浅倉秋成さんの「六人の嘘つきな大学生」を読みました。

2022年本屋大賞にノミネートされているほか、「このミステリーがすごい!2022年版」などミステリー小説のランキングにもランクインしています。

最初タイトルを見たときは、読むのをためらっていました・・・

あらいぐま

大学生の話かぁ。とうの昔に大学を卒業したから、ついていけるかな・・・

でも、そんな不安は裏切られました。

読まずに内容を判断するのはいけないですね。

伏線が多く、最後の方は驚きっぱなしでした!!

ミステリー小説のランキングにランクインしているだけあります。

二重・三重に驚くポイントがあり、読む手が止まりませんでした。

ミステリー要素が面白いのは間違いないのですが、この小説の軸にあるメッセージが心に刺さりました。

それは、人の善し悪しを判断することの難しさです。

自分が知っている一面だけを切り取って、人を判断してしまう危うさ。

自分が知らないところで何をやっているか分からないのに・・・

目次

あらすじ

成長凄まじいIT企業「スピラリンクス」の最終選考に残った大学生6人。

最終選考の内容は、6人で最高のチームを作り上げて、ディスカッションすること。

場合によっては、6人全員に内定が出ると知り、最終選考まで結束力を深める6人。

しかし、最終選考の直前になり、「6人の中から話し合いにより、内定者1人選ぶこと」という課題に変更された。

最終選考当日、内定者を決めるべく議論が進められていくが、6通の封筒が発見される。

そこには、「〇〇は人殺し」と個人名が書かれた告発文が入っていた。

最終選考に残るほど優秀な大学生の嘘とは何か。

そして、封筒を用意した人物は誰なのか。

人の裏側は見えない

この物語の主軸とも呼べるテーマは、人の善し悪しを判断することの難しさだと思いました。

読んでいて胸に刺さった言葉を引用します。

月は地球に対して常に表側だけを見せているそうで、裏側を地球から見ることは叶わないらしい。

果たして月の裏側はどんな様子なのだろう。

(中略)封筒の中には紛れもない、僕らの一部分が封入されていた。

日頃は見えていない、見ることの叶わない「裏側」が封入されていた。

(中略)僕らは封筒の中に隠されていた一部分を見て、勝手に失望して、あろうことか当人全体のイメージを書き換えてしまった。

月の裏側に大きなクレーターがあることを知った途端に、全く関係のなかったはずの表側に対する印象も変えてしまったのだ。

浅倉秋成「六人の嘘つきな大学生」株式会社KADOKAWA p265-p266

ある人が良い人か悪い人を判断する時は、自分の知っている表側で判断するしかありません。

会社で良くしている人も、家庭という裏側では暴言を吐いたりしているかもしれません。

こう考えると、人の全てを知り尽くしたうえで、人の善し悪しを判断するのは不可能に近いです。

自分が普段接している表側だけで判断するしかありません。

でも、自分が信じている人の裏側を不意に見せられたら?

きっと裏切られたと思うかもしれません。

それは、相手に対して過度な期待しているからだと思います。

「自分が見ている表側が綺麗なんだから、裏側もきっと綺麗なはずだ」と。

自分が見ている表側なんてたかが知れています。

だから、人の表側だけで過度に期待せず、裏側を見せられた時に「こういう一面もあるんだ」という風に受け止めることが、人を信じることなんだと思います。

もし、その人の裏側がものすごく汚かったら、それは裏切られたのではなく、その人の見えていない裏側が見えただけです。

就活という奇妙なイベント

物語の主人公たちは、就活生です。

私自身、昔に経験した就活のことを思い出しました。

学生はいい会社に入るために嘘八百を並べる。

一方の人事だって会社の悪い面は説明せずに嘘に嘘を固めて学生をほいほい引き寄せる。

浅倉秋成「六人の嘘つきな大学生」株式会社KADOKAWA p226

就活をしていた当時の自分は、企業の人事部が大きく見え、良い学生と悪い学生を判断するための指標があると思い込んでいました。

企業からの不採用通知、いわゆるお祈りメールが届くと、社会人としてふさわしくないレッテルを貼られたような気持になっていました。

社会人になり数年経った今考えると、人事部は怖いものではなく、良い学生と悪い学生を判断するための指標なんてものは無いことに気づかされます。

先ほど書いたように、人を判断する時は自分の見えている表側でしか判断できません。

それは、企業も同じだと思います。

学生は、企業のホームページや人事が説明する”表側”だけしか理解できません。

しかも、お互いが大なり小なり嘘をついている就活の場で、お互いのことを全て理解するのは不可能です。

はっきりした指標のない中で、学生の採用・不採用を決める企業。

大なり小なり自分を大きく見せ、企業にアピールする学生。

数年前に経験した就活ですが、こうして思い返すと奇妙なイベントだったと感じます。

あらいぐま

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この記事を書いた人

はじめまして。
あらいぐまと申します。
読書とソロキャンプが趣味の28歳の会社員。
ミステリ小説多めです。
読んだ本の感想や考えたことを発信します!

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