【要約・感想】相良奈美香「行動経済学が最強の学問である」人間の非合理な選択の面白さ

行動経済学が最強の学問である 要約
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こんにちは、あらいぐまです。

今回は、相良奈美香さんの「行動経済学が最強の学問である」を紹介します。

皆さんは、行動経済学という学問を知っていますか?

最近、行動経済学に関する本が多数出版されており、目にした方も多いのではないでしょうか。

行動経済学とは?

行動経済学:非合理な人間がどのように行動するのか解明する学問。経済学と心理学が融合。

行動経済学では、非合理的な人間の行動に着目します。

例えば、「保有効果」という理論があります。

保有効果というのは、自分の所有しているモノ・サービスに必要以上に価値があると思い込むことです。

なぜ企業が無料お試しキャンペーンをやるのか。

それは、一度サービスに加入すると必要以上に価値があると思い込んでしまい、解約するのが惜しくなってしまうから。

このように私たちが身近で接している企業の戦略には、行動経済学が潜んでいます。

行動経済学を学ぶことで、私たちにお金を使わそうとする企業の戦略に気づくことができます。

そして何より、人間の非合理な行動の面白さが分かるはずです!

本書では、非合理な意思決定をしてしまうメカニズムを3つに分けて説明しており、非常に分かりやすく体系化されています。

非合理な意思決定をしてしまうメカニズム

①認知のクセ:脳の情報処理の仕方が行動に影響を与える

➁状況:周りの環境や状況が行動に影響を与える

➂感情:感情によって行動に影響を与える

行動経済学を初めて学ぶ人や興味のある人にオススメです!

今回は、一部抜粋して特に印象に残った理論を紹介していきます。

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目次

認知のクセ

まずは、脳の情報処理の仕方が不合理な行動に与える影響を紹介します。

「システム1」と「システム2」

人間には、思考するとき2つの脳のモードを切り分けています。

思考する時の2つのモード

・「システム1」:直感的に判断する

・「システム2」:注意深く考え、分析する

直感的な「システム1」と考える「システム2」。

脳に負担が少ないのは、直感的に判断する「システム1」です。

人間の脳はこの2つのモードを使い分けています。

しかし的確に使い分けているわけではありません

本来なら「システム2」を使い、じっくり考えるべき事項でも、疲れているときや時間が無い時、情報量が多い時には、「システム1」を発動させ、脳の負担を軽減しようとするのです。

この「システム1」が人間の非合理的な行動に大きく影響しているのです。

あらいぐま

人間の脳は、なるべく負担をかけない選択を取ります!

自制バイアス

自制バイアス

自制バイアスとは、自分は誘惑に負けず、自制心を持って行動できると判断してしまうこと

例えば、「食費を抑えるためにコンビニには行かないぞ!」と決意したとします。

この目標を常に達成できると思ってしまうのが、自制バイアス。

朝元気な時だったら、コンビニには行かないでしょう。

しかし、仕事終わりにコンビニの前を通った時、吸い寄せられるようにコンビニに入り、爆買いしてしまう。

そんな経験ないでしょうか?

これは、疲れて空腹状態だったために「システム1」が働き、誘惑に負けてしまったのです。

人間には、自制バイアスがあるものと認識し、そもそもコンビニの前を通らないようにするといった対策が必要です。

あらいぐま

空腹・疲れているときには直感的な行動をしやすいので、注意が必要です!

サンクコスト効果

サンクコスト効果

別名、コンコルド効果。

今まで費やしてきた時間・お金・労力を取り戻そうと、成果が出るまで継続してしまうこと。

例えば、パチンコ。

打っても打っても負けてしまう。

「次こそは勝つんじゃないか、今まで負けた分を取り返さないと・・・」

こんな思考が働き、結局大金を溶かしてしまう・・・

また、スマホのガチャもサンクコスト効果を感じやすいです。

目当てのキャラが出るまでガチャを回す。

1万、2万、3万・・・

「そろそろやめようか、いや次こそ出るに違いない。」

そして膨らむ課金額・・・・

サンクコスト効果を感じるときには、機会コストを考えることが重要です。

機会コストとは?

機会コスト:今実施していることのせいで、別の何かが犠牲になっている

パチンコやガチャに費やす金額を考えてみてください。

そのお金で何ができたのか、これからできるのか。

機会コストを考えることで、サンクコスト効果を弱めることができます。

あらいぐま

私もガチャに10万円以上課金したことがあるので、痛いほど分かります・・・

確証バイアス

確証バイアス

確証バイアスとは、自分の思い・考えに合うような情報ばかり集めてしまうこと。

例えば、家電を探すとき。

SHARPの冷蔵庫が使い勝手良かったから、きっとTVも良いに違いないという思い込みが発生。

肯定的な口コミばかり注目して、自分の考えが正しかったんだと判断してしまう・・・

確証バイアスに抵抗する手段はシンプルです。

反対の意見にも耳を貸すこと。

確証バイアスがあることを認め、わざと反対の意見や悪い口コミを意識的に読んでみる。

あらいぐま

確証バイアスは、自分の視野が狭くなってしまうので、要注意です!

状況

続いては、周りの環境や状況が人間の非合理的な行動に影響を与えている例を紹介します。

情報オーバーロード

情報オーバーロードとは、多すぎる情報のせいで非合理的な判断をしてしまうこと。

多すぎる情報は、人を疲れさせ、意思決定を妨げます。

例えば、巨大スーパーでのできごと。

ものすごい数の商品量が陳列されている巨大スーパーでは、消費者は戸惑います。

商品量が多すぎるせいで、何を選んで良いか分からず、意思決定に疲れているのです。

「今日は買うのやめよう」と購入意欲まで下げてしまいます。

それは、大量の情報の中から自分で意思決定する行為が疲れてしまうからです。

この情報オーバーロードを上手く活用している企業もあります。

例えば、Amazon、Netflix、Youtubeです。

Amazonでは、膨大な商品の中からあなたへのオススメを提示してくれます。

Netflixでは、膨大な映画の中から、人気の作品やあなたにオススメの作品を見せてくれます。

Youtubeでは、膨大な動画コンテンツの中からあなたへのオススメを再生してくれます。

これらの企業に共通するのは、消費者に選ばせる負担を少しでも減らそうとしていること。

行動経済学を上手く取り入れたからこそ、世界を代表する企業に成り得たのだと思います。

あらいぐま

大きいスーパー行くとテンション上がりますが、疲れますよね・・・

おとり効果

おとり効果とは、誰も選ばない選択肢(おとり)をあえて提示することで、もともとあったものを選ばせること。

例えば、1,000円の弁当Aと500円の弁当Bがあるとします。

よく売れるのは、価格が低い500円の弁当Bです。

しかし、ここに「おとり」の選択肢として1,500円の弁当Cを追加するとどうなるでしょうか。

「おとり」として弁当Aより価格が高い弁当Cを追加したことで、真ん中である弁当Aが良く売れるようになります。

これが、松竹梅の中で「竹」を選んでしまう心理なのです。

あらいぐま

3つの選択肢があったら、とりあえず真ん中を選びたくなりますよね・・・

感情

最後に感情が、不合理な行動に与える影響を紹介します。

アフェクト

アフェクトとは、淡い感情・ほんの少しよぎる微妙な感情のことです。

人は頻繁にはっきりとした喜怒哀楽を抱くわけではなく、淡い感情を感じることが多いです。

この淡い感情「アフェクト」が人間の行動に影響を与えます。

ポジティブなアフェクトをいかに日常に取り入れるかで、日常のストレスは変わってきます。

アフェクトはすぐに消えてしまうものの、すぐに生み出すことができます。

例えば、温かいコーヒーを飲む、お気に入りのペンを使う、好きな曲を聴く等々

ポジティブなアフェクトを取り入れて、自分の機嫌を取ることが大切です!

逆にネガティブなアフェクトには邪魔されないように注意する必要があります。

「嫌な仕事だな、無理そうだ」とネガティブなアフェクトが生み出されると、やらない理由を探し始めます。

それに対抗するには、とりあえずやってみること。

あらいぐま

嫌な仕事でもやってみると、思ってたよりも簡単だったことが良くあります。

キャッシュレスとアフェクト

アフェクトはお金の使い方にも影響します。

「お金そのもの」に対して「自分のもの」というアフェクトを持った方が、無駄遣いは無くなります。

最近、キャッシュレス化が急激に進み、普段お金を持たない人も多いのではないでしょうか。

キャッシュレスは、「お金そのもの」に対して「自分のもの」というアフェクトを感じにくく、無駄遣いしやすいです。

これをうまく活用しているのが、Amazonです。

Amazonでは、買いたい商品をキャッシュレスですぐに買うことができます。

消費者に「お金を無駄遣いしてしまった」というネガティブ・アフェクトを感じさせないままお金を使わせることができます。

不確実性とネガティブ感情

突然ですが、皆さんに1つ質問です。

「ガンの疑いがある」と言われた人と「ガンである」と告知された人、どちらがストレス値が高くなるでしょうか。

それは、「ガンの疑いがある」と言われた人です。

「ガンである」と宣告された人は、一時的に急激なストレス上昇を見せますが、徐々に落ち着いていきます。

しかし、「ガンの疑いがある」と言われた人は、ずっとストレス値が高いままだったそうです。

これは、「悪い結果になるかもしれない」という不確実性な状態の方が、心理的負担が高いことを示しています。

ガンという非日常な事柄でなくても、私たちは日常で不確実性によるネガティブ感情を感じています。

例えば、金曜日に仕事で不安なことが発生してそのままにしておくと、土日の休みが不安な感情のまま楽しめなくなります。

「仕事で困ったことになるのではないか」という不確実な不安により、休日を楽しめなくなってしまうのです。

あらいぐま

めちゃくちゃ共感できる・・・翌週に不安な仕事を持ち越すと土日全然楽しめくなってしまいます。

まとめ

行動経済学の入門書である「行動経済学が最強の学問である」を紹介しました。

あらいぐま

行動経済学って面白い!

本書を読んで、行動経済学の面白さに気づきました。

企業の戦略には必ずと言っていいほど行動経済学が潜んでいます。

Amazonの「あなたへのオススメ」、Netflixで次の動画が自動的に流れること・・・

企業はありとあらゆる手を使って、私たちにお金を使わせようとしてきます。

行動経済学を学ぶことで、そうした企業の戦略に気づき、罠にはまるのを防いでくれます。

ここで紹介した行動経済学の理論は、私が特に気になった一例です。

本書にはこの他にも様々な理論が紹介されています。

行動経済学に興味を持った方は、ぜひ手に取って読んでみてください。

あらいぐま

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この記事を書いた人

はじめまして。
あらいぐまと申します。
読書とソロキャンプが趣味の28歳の会社員。
ミステリ小説多めです。
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