こんには、あらいぐまです。
今回は、川上未映子さんの「黄色い家」を読みました。
「王様のブランチBOOK大賞2023」に選ばれたことがきっかけで読み始めました。
「王様のブランチBOOK大賞」は、過去に凪良ゆうさんの「汝、星のごとく」や辻村深月さんの「かがみの孤城」など選ばれており、毎回注目しています。
また、帯の紹介文にも惹かれました。
とめどない落下とその果てにある景色。
悪など存在しない。
彼女たちは、わたしたちは、生き延びるためにもがき続けるだけ。
-凪良ゆうー
「黄色い家」帯
凪良ゆうさんの言葉、まさにこの物語を表現しています。
生きていくために金のことを考えざるを得なかった少女。
助けてくれる人、騙す人、盗む人。
金をめぐる不安と人間の温かさが深く深く表現されています。
黄色の金運に頼り、幸せになりたかっただけなのに・・・
あらすじ
人はなぜ、金に狂い、罪を犯すのか。
2020年春、惣菜店に勤める花は、ニュース記事に黄美子の名前を見つける。60歳になった彼女は、若い女性の監禁・傷害の罪に問われていた。長らく忘却していた20年前の記憶――黄美子と、少女たち2人と疑似家族のように暮らした日々。まっとうに稼ぐすべを持たない花たちは、必死に働くがその金は無情にも奪われ、よりリスキーな〝シノギ〞に手を出すことになる。歪んだ共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解へ向かい…..。
黄色は、希望。
黄色は、危険。
黄色は、狂気。
揺らぐ境界線、押し寄せる感情の波。
かつてない読書体験をあなたに。
中央公論新社HP(https://www.chuko.co.jp/special/kiiroiie/)
登場人物
伊藤 花:文化住宅で母と二人暮らし。高校生の頃、ある理由から黄美子さんとスナック「レモン」で働くように。
吉川 黄美子:スナック「レモン」を経営。
加藤 蘭:花より1年下。キャバクラで働いていたが、花に誘われ「レモン」で働く。
玉森 桃子:花と同い年。家族から逃れるため、「レモン」で働く。
4人は、共同生活を送り共に生きていくのだが・・・
映水:黄美子・琴美とは昔からの仲。裏の仕事をして稼いでいる。
琴美:黄美子・映水とは昔からの仲。銀座のクラブで勤務
金の魔力
「黄色い家」の主人公である花は、子どもの頃から金が無い生活を送っていた。
さらに高校性の頃、バイト漬けで必至に貯めた72万を盗まれてしまう。
花は、この経験から金の不安を常に抱くようになる。
生きていくために、金が必要である。
将来のために金を貯めなければいけない。
金のことを常に考え、追い求めていくようになっていく花。
追い詰められた花は、やがて犯罪に手を染めるようになっていく・・・
そんな花も、終盤仲間たちと共に大金を貯めることに成功する。
一時は安心した花だったが、別の不安が押し寄せてきてしまう。
この金を誰かに盗まれないか。
これこそ、金の魔力だと思います。
無い時は、将来のことが不安になり必死に追い求める。
大金を手に入れても、盗まれないか不安になる。
常に不安が付きまとってくるのが、金の魔力です。
そんな金の魔力に取りつかれた花の描写が、生々しくリアルで恐ろしかったです・・・
心に刺さった言葉
「黄色い家」で心に刺さった言葉を紹介します!
まともに生きていく資格
みんなどうやって生きているのだろう。
(中略)
今日を生きて明日もそのつづきを生きることのできる人たちは、どうやって生活しているのだろう。
そういう人たちがまともな仕事についてまともな金を稼いでいることは知っている。
でもわたしが分からなかったのは、その人たちがいったいどうやって、そのまともな世界でまともに生きていく資格のようなものを手に入れたのかということだった。
どうやってそっちの世界の人間になれたのかということだった。
川上未映子「黄色い家」中央公論新社p428~429
生きるために、犯罪まで犯した花の切実な疑問。
まともな人は、どうやって生きているのか。
普通に暮らしている人も奇跡的に人生の深い穴に落ちていないだけです。
深い穴に落ちる可能性は、無数に転がっています。
事故・事件・病気・犯罪・借金・リストラ・不倫・・・・
これらをきっかけに、深い穴へと落ちてしまうケースがあります。
そして、一度深い穴に落ちると、なかなか這い上がることが難しくなってしまう。
普通に暮らしている人たちも他人ごとではないのです。
いつか自分も人生の深い穴に落ちるかもしれない。
みんな、落ちないように必死にもがき続けるしかない。
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