【感想】想像すらしていない現実がつきつけられる【夜の道標 芦沢央】

夜の道標 芦沢央 ネタバレ
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こんにちは、あらいぐまです。

今回は、芦沢央さんの「夜の道標」を読みました。

芦沢央さんの小説は、短編しか読んだことがなく、長編は初めてでした。

今まで読んだ短編が面白かったので、期待が高まります!

短編では、人間の怖さや気味の悪さを感じましたが、「夜の道標」では登場人物の心情を丁寧に深堀されており、物語にどっぷり浸れます。

あらいぐま

心がえぐられました・・・・

短編では、許されようとは思いません」が特に面白かったです。

その中に「姉のように」という短編があるのですが、これがすごかった・・・

短いのにここまで衝撃的な物語が作れるなんて・・・

目次

あらすじ

1996年、横浜市内で塾講師が殺害された。

被害者の戸川が経営している塾では、不登校の子どもや発達障がいの子どもを受け入れ、地域では評判が良かった。

警察の捜査が進む中、容疑者として挙がったのは、戸川の元教え子で33歳の阿久津弦。

しかし、警察が阿久津を逮捕できないまま2年が過ぎてしまう。

阿久津はどこに潜伏しているのか、戸川を殺害したのは本当に阿久津なのか。

想像していなかった現実が、読者に突き付けられる・・・

自分が想像もできない世界があるということ

「夜の道標」では、自分が想像もできない世界には気づけないことがテーマの1つであると感じました。

作中では、ある2人の人物にスポットがあたり、その現実を見せつけられます。

橋本波留:慰謝料目的で、父親からわざと車に撥ねられる「当たり屋」をするよう命令され続けている。

阿久津弦:発達障害があり、旧優生保護法のもと不妊手術を受けさせられた。

波留の友人である桜介は、波留が当たり屋をしているとは想像もしていない。

そのことに怒りを覚える波留。

また、阿久津を追う刑事である正太郎は、旧優生保護法のことなんて想像もしていなかった。

それぞれの登場人物は、まさに「自分が想像もできない世界には気づけない」。

そのことを象徴するこの言葉が印象に残っています。

だが、正太郎は知らなかった。自分とは関わりがない話だったからだ。

芦沢央「夜の道標」中央公論新社 p310

正直、私もこの旧優生保護法について詳しく知りませんでした。

それは、私に直接関わりが無かったからです。

これって、世の中で起きている様々な問題に言えることです。

ロシアがウクライナに侵攻して始まった戦争

自分に関係のない事故や事件

どれも表面上は知っていても、詳しく知らない方がたくさんいると思います。

あらいぐま

自分が想像もできないような状況が存在している・・・

旧優生保護法という一例を突き付けられ、他の問題にも同じことが言えると気づかされました。

自分も登場人物である正太郎と同じであると認識させられ、こころがえぐられる感覚でした・・・

あらいぐま

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あらいぐま

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この記事を書いた人

はじめまして。
あらいぐまと申します。
読書とソロキャンプが趣味の28歳の会社員。
ミステリ小説多めです。
読んだ本の感想や考えたことを発信します!

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