【感想】人間の怖さと闇を味わってください【許されようとは思いません 芦沢央】

許されようとは思いません 芦沢央
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こんにちは、あらいぐまです。

今回は、芦沢央さんの「許されようとは思いません」を読みました。

この本は、5つの物語で構成された短編集です。

表題作以外は、読んだ後に何とも言えない後味の悪さを感じる物語、いわゆる「イヤミス」の作品です。

どの物語も、人の怖さや心の闇が細かく描写されています。

タイトル一覧

・目撃者はいなかった

・ありがとう、ばあば

・絵の中の男

・姉のように

・許されようとは思いません

この5つの短編の中で、特に面白かったのが「目撃者はいなかった」・「 姉のように 」・「 許されようとは思いません 」の3つです。

芦沢央さんの小説は、人間の怖さを思う存分味わえます。

「許されようとは思いません」のほかに、「火のないところに煙は」という小説があり、こちらもおススメです。

→ミステリー×ホラーの面白さ「火のないところに煙は」

目次

ミスをごまかした結果・・・

許されようとは思いません 目撃者はいなかった

「目撃者はいなかった」では、社会人3年目の会社員が主人公です。

主人公は、仕事で誤発注のミスをしてしまいますが、それを隠し自分で買い取ることにします。

しかし、ミスをごまかした結果、事態はさらに悪い方向へ進んでしまいます。

自分がしてしまったミスをごまかす話は、「汚れた手をそこで拭かない」にもありました。

小学校の教師がプールの水を貯めますが、後に栓を閉め忘れたことに気づき、そのミスをごまかそうとする話です。

ミスをごまかした後の「バレてしまうんじゃないか」という主人公の感情が、リアルすぎです。

自分がミスをしたんじゃないかと思うほどに、ハラハラさせられます。

身近に感じることができる日常的な恐怖のため、非現実的なホラーよりも怖いかもしれません。

あらいぐま

私も仕事でミスをしたときに、ごまかしてしまった経験があります。そのときの気持ちを思い出しました・・・

偏見の怖さ

「姉のように」は、読み終えた後に必ず驚くはずです。

短編でこれほど衝撃的な話には、最近出会っていませんでした。

この短編を読むために、本を買っても良いレベルで面白かったです。

この話は、子育て中の主婦が主役です。

姉はとある事件を犯してしまい、妹は周囲の偏見に苦しみます。

そんな中、子育てのストレスも重なり・・・

ネタバレになってしまうので、詳しく説明できないのが悔しいです。

ただネタバレをしてしまうと、この話の魅力が半減してしまうので、ネタバレは絶対に見ないようにしてください。

衝撃的な展開のみならず、子育ての大変さが伝わる話でした。

「旦那さん、もっと手伝いなさいよ」と何度も思いながら読み進んでいました。

許されようとは思いません

この本の表題作である「許されようとは思いません」は、ある閉鎖的な村が舞台です。

主人公は東京で暮らしていますが、18年前に亡くなった祖母の骨を寺に納骨するために、祖母の家があった村へとやってきました。

なぜ祖母の骨は、納骨されずに18年間保管してあったのか。

それは、祖母が祖父を殺害したことが関係しています。

祖父を殺害したことで、村八分以上の村十分になってしまった祖母。

なぜ祖母は祖父を殺害したのか・・・

祖母が祖父を殺害した理由が、驚きでした。

ミステリー小説をよく読む方ですが、この話の殺害理由は初めてでした。

村の閉鎖的な雰囲気が不気味で、人間の怖さを感じました。

あらいぐま

私の実家もこの話ほど田舎ではないものの、不便な場所にあります。私の妻には、こんな思いはさせたくないなと思います。

 

まとめ

「許されようとは思いません」の中で、最も印象的だったのが「姉のように」という話です。

この話を読むために、この本を買って良いと思います。

それほどまでに衝撃的でした。

5つの短編集を通じて、人間の怖さや心の闇が感じられました。

幽霊の怖さより人間の怖さを味わいたい人には、ぜひおすすめです!

あらいぐま

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この記事を書いた人

はじめまして。
あらいぐまと申します。
読書とソロキャンプが趣味の28歳の会社員。
ミステリ小説多めです。
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