こんにちは、あらいぐまです。
今回は、有栖川有栖さんの「幽霊刑事」を読みました。
この本を読んだきっかけは、ある日Twitterを見ていた際に「読んでおくべき本」としてこの本が紹介されていたためです。
この「幽霊刑事」の」あらすじを読んだとき、その設定に強く惹かれました。
幽霊となった刑事が、自分を殺害した犯人を追い詰めるために、幽霊として捜査していく・・・
「この特殊設定、面白くないはずがない!」そう思って、今回読みました。
後日談である「幻の娘」と合わせて約600ページと結構な文章量ですが、先が気になる展開のため「文章多いなぁ」とは感じませんでした。
あらすじ
刑事である神崎は、ある日上司である経堂に射殺された。
理由もわからず殺された神崎は、成仏できず現世をさまようことになる。
幽霊となった神崎の姿は、婚約者であった須磨子や家族には見えない。
誰一人神崎に気づかない中、後輩である早川刑事だけは、彼の姿を見ることができる。
幽霊となった神崎と霊媒体質の後輩である早川は、ともに事件の真相を追っていく。
幽霊=特殊設定ミステリー
タイトルからもわかる通り、普通の刑事小説ではありません。
神崎という刑事が殺害されて、その犯人を幽霊になって捜査するという特殊設定ミステリーです。
特殊設定ミステリーとは、読んで字のごとく“特殊な状況下でのミステリー”のことです。
斜線堂 有紀「楽園とは探偵の不在なり」・・・殺人を2回犯したものは、その場で地獄に落ちる。
今村 昌弘「魔眼の匣の殺人」・・・予言することが絶対に当たる予言者が存在する。その予言者が、”男女4″人が死ぬ”と予言する。
幽霊になった神崎は、捜査に役に立つ能力があります。
・早川刑事など霊媒体質の人にしか見ることができない。
・壁や天井をすり抜けることができる。
幽霊なので、人に見られることなく近くで盗み聞きや監視ができます。
これは、刑事小説・ミステリー小説では、めちゃくちゃ役に立つ能力ですよね。
しかし、幽霊なので人や物に触れることができないというデメリットも存在しています。
そんな能力をどのように活かして捜査していくかが、普通の刑事小説とは違い、楽しめるポイントだと思います。
また、幽霊という非日常の要素を取り入れているためか、ストーリーが重すぎない印象を持ちました。
普通、刑事小説やミステリー小説は、殺人の捜査など内容が重くなる傾向があると思います。
しかし、「幽霊刑事」では、“幽霊”のおかげで重い内容が緩和されています。
そのため、重い設定に身構えずに読めると思います。
生きるということ
神崎は幽霊になってしまい、婚約者である須磨子と触れ合うことも話すこともできなくなってしまいます。
自分からは見ることができるのに、相手からは気づいてもらえない・・・
生きている人間に対して、何も干渉することができない・・・
そんな状況の中、神崎は街中で自分の思いを吐き出す場面があります。
自分の右手で左手に触ってみたら何の手応えもない、ということはありませんか?
他の人が自分をすり抜けていく影みたいだ、と感じることはありませんか?
自分の痛みすら判らなくなっていませんか?
そのうちのどれかに該当したなら、すでに幽霊なのかもしれない。
そんなあなたに肉体は不要です。どうか私に譲ってください。
私は切実に肉体が欲しいのです。もう一度生きたいのです。
有栖川有栖「幽霊刑事」株式会社幻冬舎 p421
生きた人間と触れ合ったり、話したりしたい・・・
生きることを奪われた神崎の切実な願いが溢れている言葉であり、読んでいた時に印象に残った場面でもあります。
私たちは、身近に”死”が無いため、生きることが当たり前になっていると感じます。
ですが、いつ死んでしまうか分かりません。
突然、交通事故に遭ったり、災害に巻き込まれたり・・・
“死”を少しだけでも意識することで、“今を生きていること”の大切さに気付けるかもしれません。
神崎の言葉を読み、そんなことを考えてしまいました。
最後の表現に驚く
最後まで読んだとき、ラスト2行からの数ページに渡る表現に驚きました。
ネタバレになってしまうので、詳しくは言えないのが悔しいです。
きっと皆さんも読めば、「こんな表現の方法があるのか・・・」と驚くはずです。
小説だからこそできる表現の方法を用いています。
今回は、有栖川有栖さんの「幽霊刑事」を読みました。
一風変わった刑事小説であり、笑いもありながら、先が気になる展開ですぐに読み進められる小説でした。
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