こんにちは、あらいぐまです。
今回は、読んだ後もずっと頭に残っているような「考えさせられる小説」オススメの10冊を紹介していきます。

そもそも「考えさせられる小説」とは??
・知らなかった世界を知るきっかけになる
・今まで信じてきた常識が崩される
・問題を突き付けられることで、読者自身にもダメージが残る
・読んだ後も小説の内容が頭から離れない
こんな要素を持っている小説が、「考えさせられる小説」だと思います。
今まで考えなかったり、避けてきた問題がテーマになるので、基本的に重いストーリーになります。
ただ重い分、読んだ後にその内容が頭から離れなくなります。
そんな「考えさせられる小説」オススメを10冊紹介していきます!
「考えさせられる小説」10選





ここに挙げた10冊は、読んだ後に何日間も頭から離れなかったです・・・
1.『生殖記』/ 朝井 リョウ
『正欲』から3年半ぶりとなる最新長篇。
とある家電メーカー総務部勤務の尚成は、同僚と二個体で新宿の量販店に来ています。
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体組成計を買うため――ではなく、寿命を効率よく消費するために。
この本は、そんなヒトのオス個体に宿る◯◯目線の、おそらく誰も読んだことのない文字列の集積です。
日常のモヤモヤを言語化してくれた小説!
ある視点から語られたヒトの生態。
よく考えたらおかしいヒトの生態。
普段何気なく行動したり考えたりしてるけど、それっておかしくね?
そんな日常のモヤモヤを朝井リョウさんが見事に言語化しています。
差し当たって命の心配をしなくてもいいヒトの個体の場合、根詰めて考えると精神が病んでしまうような本質的な事柄に追いつかれてしまわないよう、常に鬼ごっこをするみたいに生きている。
朝井リョウ「生殖記」株式会社小学館 p9
鬼ごっこしているみたいに生きている・・・
みんな何に追われているのでしょうか?
お金のこと?
将来の不安?



私は何に追われているのだろう・・・
2.『正欲』/ 朝井 リョウ
自分が想像できる”多様性”だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな――。息子が不登校になった検事・啓喜。初めての恋に気づく女子大生・八重子。ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。ある事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり始める。だがその繫がりは、”多様性を尊重する時代"にとって、ひどく不都合なものだった。読む前の自分には戻れない、気迫の長編小説。
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自分の薄っぺらさや考えの無さを突き付けられる小説。
2023年に稲垣吾郎と新垣結衣の主演で映画化され、話題にもなりました。
幸せの形は人それぞれ。
多様性の時代。
自分に正直に生きよう。
そう言えるのは、本当の自分を明かしたところで、排除されない人たちだけだ。
「正欲」朝井リョウ 株式会社新潮社 p214
多様性という便利な言葉、軽々しく使っていませんか?
安全圏で多様性という言葉を使っていませんか?



殴られたかのようなダメージを受けました・・・
3.『列』/ 中村 文則
男はいつの間にか、奇妙な列に並んでいた。
先が見えず、最後尾も見えない。そして誰もが、自分がなぜ並んでいるのかわからない。
男は、ある動物の研究者のはずだった。現代に生きる人間の姿を、深く、深く見通す――。
競い合い、比べ合う社会の中で、私達はどう生きればいいのか。
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この奇妙な列から、出ることはできるのだろうか。
ページをめくる手が徐々に止まらなくなる、最高傑作の呼び声も高い、著者渾身の一作。
人間は他人との比較をせずにはいられない・・・
年収・家族構成・ブランド品・持ち家・SNS・・・・・
どんな状況でも他人との比較・競争をしてしまう。
人生という「列」において、他人より前に進もうと必死になっている。
人と比較して疲れてしまった人に読んでほしい1冊。



あなたはどんな列に並んでいますか?
4.『虚ろな十字架』/ 東野 圭吾
中原道正・小夜子夫妻は一人娘を殺害した犯人に死刑判決が出た後、離婚した。数年後、今度は小夜子が刺殺されるが、すぐに犯人・町村が出頭する。中原は、死刑を望む小夜子の両親の相談に乗るうち、彼女が犯罪被害者遺族の立場から死刑廃止反対を訴えていたと知る。一方、町村の娘婿である仁科史也は、離婚して町村たちと縁を切るよう母親から迫られていた――。
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死刑制度は、本当に罪を償うことはできるのか?
重い・とにかく重いです・・・
しかし、先が気になりどんどん読み進めることができます。
東野圭吾さんの小説で上位に入る面白さです!
タイトルの意味にも驚愕。
虚ろな十字架とは、死刑制度のことを指していると考えます。
反省しないまま死刑を受け入れる死刑囚。
それは、本当に罪を償ったと言えるのか・・・



なんてものを読ませるんだ・・・
5.『ロスト・ケア』/ 葉真中 顕
戦後犯罪史に残る凶悪犯に降された死刑判決。その報を知ったとき、正義を信じる検察官・大友の耳の奧に響く痛ましい叫び――悔い改めろ! 介護現場に溢れる悲鳴、社会システムがもたらす歪み、善悪の意味……。現代を生きる誰しもが逃れられないテーマに、圧倒的リアリティと緻密な構成力で迫る!
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絆は呪いだ。
家族の介護問題を考えるきっかけになる小説。
母の介護のため日常が壊されてしまった娘の発言が心に残っています。
絆は呪いだ
(中略)
もしかしたら、やがて息子のことを縛ってしまうのかもしれない。
あの地獄の日々が、またやってくるのかもしれない。
葉真中顕「ロスト・ケア」株式会社 光文社 p371
誰にでも起こりうる介護の問題。
家族で介護ができずに施設への入所を考えるも、料金が安い特別養護老人ホームは空き待ち。
有料老人ホームなどは、月に20万円近くかかってしまう。
仕方なく家族で介護をしなければならず、自分の日常は犠牲になってしまう・・・
そんな介護の問題や親子の関係を考えさせられる小説です。



絶対に考えなければいけない問題ですよね・・・
6.『朝が来る』/ 辻村 深月
長く辛い不妊治療の末、栗原清和・佐都子夫婦は、民間団体の仲介で男の子を授かる。朝斗と名づけた我が子はやがて幼稚園に通うまでに成長し、家族は平穏な日々を過ごしていた。そんなある日、夫妻のもとに電話が。それは、息子となった朝斗を「返してほしい」というものだった――。
自分たちの子供を産めずに、特別養子縁組という手段を選んだ夫婦。
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中学生で妊娠し、断腸の思いで子供を手放すことになった幼い母。
それぞれの葛藤、人生を丹念に描いた、胸に迫る長編。
本当の家族とは?
不妊治療を続けていく辛さ。
我が子を特別養子縁組に出さなければいけない親の思い。
子を授かることの意味や血のつながりについて考えさせられます。
作者の辻村深月さんは、登場人物の感情表現をめちゃくちゃ丁寧に描きます。
だから、読者も登場人物に感情移入しやすいんです。



実際に体験したんじゃないかと思うほどです・・・
7.『王とサーカス』/ 米澤 穂信
2001年、新聞社を辞めたばかりの太刀洗万智は、知人の雑誌編集者から海外旅行特集の仕事を受け、事前取材のためネパールに向かった。現地で知り合った少年にガイドを頼み、穏やかな時間を過ごそうとしていた矢先、王宮で国王をはじめとする王族殺害事件が勃発する。太刀洗はジャーナリストとして早速取材を開始したが、そんな彼女を嘲笑うかのように、彼女の前にはひとつの死体が転がり……。「この男は、わたしのために殺されたのか? あるいは――」疑問と苦悩の果てに太刀洗が辿り着いた痛切な真実とは?
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「このミステリーがすごい!」2016年版で1位を獲得!
報道で報じられる惨劇を安全圏から娯楽として眺めていませんか?
そんな報道の意味を問うミステリー小説です。
自分に降りかかってくることのない惨劇は、この上もなく刺激的な娯楽だ。
意表を衝くようなものであれば、なお申し分ない。
恐ろしい映像を見たり、記事を読んだりした者は言うだろう。考えさせられた、と。
そういう娯楽なのだ。
米澤穂信「王とサーカス」p199
自分に降りかからない惨劇は、刺激的な娯楽・・・
この言葉、一生忘れないくらいに刺さった言葉です。



ニュースの見方が変わるはずです
8.『同志少女よ、敵を撃て』/ 逢坂 冬馬
独ソ戦が激化する1942年、モスクワ近郊の農村に暮らす少女セラフィマの日常は、突如として奪われた。急襲したドイツ軍によって、母親のエカチェリーナほか村人たちが惨殺されたのだ。自らも射殺される寸前、セラフィマは赤軍の女性兵士イリーナに救われる。「戦いたいか、死にたいか」――そう問われた彼女は、イリーナが教官を務める訓練学校で一流の狙撃兵になることを決意する。母を撃ったドイツ人狙撃手と、母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するために。同じ境遇で家族を喪い、戦うことを選んだ女性狙撃兵たちとともに訓練を重ねたセラフィマは、やがて独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へと向かう。おびただしい死の果てに、彼女が目にした“真の敵”とは?
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2022年本屋大賞1位を獲得!
第二次世界大戦下、狙撃兵となったロシアの少女セラフィマ。
彼女の本当の「敵」とは何なのか。
最後まで読むことでタイトルの本当の意味が分かります。
また、物語の最後にセラフィマはこんな言葉を残しています。
ロシア、ウクライナの友情は永遠に続くのだろうか、とセラフィマは思った。
逢坂冬馬「同志少女よ敵を撃て」株式会社早川書房 p473
近年ニュースで取り上げられるロシア・ウクライナの戦争についても考えるきっかけになります。



全然続いてないよ・・・セラフィマ・・・
9.『新世界より』/ 貴志 祐介
1000年後の日本。豊かな自然に抱かれた集落、神栖(かみす)66町には純粋無垢な子どもたちの歓声が響く。周囲を注連縄(しめなわ)で囲まれたこの町には、外から穢れが侵入することはない。「神の力(念動力)」を得るに至った人類が手にした平和。念動力(サイコキネシス)の技を磨く子どもたちは野心と希望に燃えていた……隠された先史文明の一端を知るまでは。
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人間の「悪意」をこれでもかと見せつけられる傑作。
1000年後の日本を舞台にしたSFミステリー。
文庫で上・中・下の3巻とボリュームたっぷり。
なぜ人間同士はずっと争っているのか。
人間の根本は変わらないんだと思い知らされました。



特にラストの展開は背筋が凍りました・・・
10.『ある行旅死亡人の物語』/ 武田 惇志・伊藤 亜衣
2020年4月。兵庫県尼崎市のとあるアパートで、女性が孤独死した。現金3400万円、星形マークのペンダント、数十枚の写真、珍しい姓を刻んだ印鑑鑑……。記者二人が、残されたわずかな手がかりをもとに、身元調査に乗り出す。舞台は尼崎から広島へ。たどり着いた地で記者たちが見つけた「千津子さん」の真実とは?
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「行旅死亡人」が本当の名前と半生を取り戻すまでを描いた圧倒的ノンフィクション。
今まで「小説」を紹介してきましたが、こちらはノンフィクション。
ただ、小説のように読むことができ、考えさせられる内容なので紹介します。
3400万円もの大金を残して孤独死した身元不明の高齢女性。
彼女は何者なのか。
少ない手がかりから、徐々に女性の生活や思いが紐解かれていきます。



ミステリー小説を読んでるかのようでした・・・
“人はいつか”ではなく“私はいつか”必ず死ぬのである。
それでも人は生きているだけで、どこかにその足跡を残す。
武田 惇志・伊藤 亜衣「ある行旅死亡人の物語」毎日新聞出版 p213
自分が様々な「足跡」を残しているように、町ですれ違っただけの人も「足跡」を残して生きている。
それは、自分の死後消えることはない。
人の死後について考えさせられたノンフィクションでした。



最後、記者の言葉に泣いてしまいました・・・



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